今年の一月一日元旦から、本日三十一日まで一ヶ月間、毎日「アルファさん」を連載してきました。お話と線描画(落書)をセットで書き続けました。 一昨年の十月三十一日から十一月三十日までの三十一日間、また、昨年の十一月二十二
「アルファさん」、祝完成!

芦屋芸術は詩・小説・文学・音楽・絵画・・・etc 同人誌の発行とWEBでの表現を応援する芸術コミュニティサイトです。
今年の一月一日元旦から、本日三十一日まで一ヶ月間、毎日「アルファさん」を連載してきました。お話と線描画(落書)をセットで書き続けました。 一昨年の十月三十一日から十一月三十日までの三十一日間、また、昨年の十一月二十二
オメガちゃん。あの世からこの世にやってこれるのは、三十一日間だけなの。ごめんね。ずっといるからって、嘘ついて。でも、愛しあった奥さんもワンチャンもネコチャンもみんな喪って半ば狂ってしまったあなたの姿をあの世から見ていて
きのう会った顔も 消えていた 頭の中は 無色だった また 彼 あるいは 彼女と 何をしゃべったのか 右の耳は 無音だった 左の耳は 忘れましたと聞こえてきた &nb
アルファさんはいつも笑顔だった。怒ったり悲しんだりさげすんだりしている表情なんて見たこともなかった。やさしい笑顔だった。愛情の波を感じた。 彼女といる時だけ、イヤなことを忘れて、ボクは純粋だった。いっしょにいるだけで
アルファさんはオレンジ色の水着を着ていた。 いったいどうしたんだろう。よく見れば、彼女の背後に屋外プールがあった。誰も泳いでいない冬の夜のプール。一月二十九日の未明。 どうなってるんだろう。ボクも濃紺の水着姿だった
一月最後の日曜日。快晴。 きょうの芦屋ビーチクラブでは、みんな白い大きなビニール袋と火バサミを手にして浜辺のゴミ拾い。もちろんボクもそれを手に、芦屋浜の東端から西端までウツムキながら歩いた。 何故かタバコの吸い殻が
こんな夜中に青空が広がっていた。月もなく星もなく、ところどころ綿雲が浮かんでいた。 一月二十八日午前二時。公園には人っ子ひとりいなかった。ボクとアルファさんはブランコに乗って遊んだ。ウキウキして、空に浮かんだ雲になっ
町なかの 密集する民家の屋根の間から 百メートルくらいある煙突が一本 突き出ていた 煙突の右側 西の虚空に 唇が浮かんでいた
今年の一月一日になって、アルファさんが我が家へやって来るようになったので、ボクの生活は再び輝きだした、愛するワイフを喪ったこの九年半の暗いスクリーンの上に。 きょうは初めてダイニングルームでアルファさんとコーヒーを飲
ボクは十五歳、中学三年生になって詩を書きだした。けれど昔から上から目線で書いている文章がキライだった。自分がエライと思って書いている文章なんて糞くらえ、そう思った。そんな文章を読む時間なんてどこにもなかった。社会人にな
時折ボクは阪神芦屋駅近くのカラオケスナックにぶらっと一人で立ち寄ることがある。夜十二時まで営業している。新型コロナという奇妙な感染症が流行して以来、客足はめっきり遠のいてしまった。一月二十五日、夜十時、ドアを開けると、
ボクは少年時代から転落する夢をよく見る。さまざまな場所から転落するのだが、よく見るのは月並みではあるが、こんな映像だった。 ひとつは、崖から落ちる夢。崖もいろいろあって、一例だけあげてみる。頂上は直径一メートルくらい
冬なのに桜が咲いていた。九年前に亡くなった妻、七年前に亡くなった愛犬ジャックといっしょに春になればいつもこの桜並木の遊歩道を歩いた。我が家の北数百メート先にあるキャナルパーク。ちなみに、ジャックは黒いラブラドールレトリ
夜だけと思っていた。アルファさんと会えるのは夜だけだと。 平日の午前中、ボクはいつも仕事に出ている。もう四十五年余り続けている仕事。ビジネスパートナーでもあった妻を喪ってからは午前十一時ごろ事務所を失礼する。バスに乗
朝八時過ぎ、小雨の中、芦屋浜へ出る。 浜には誰もいない。雨で芦屋ビーチクラブの活動も中止だろう。去年の七月に参加してから雨天中止は、私の記憶では、初めてだった。 私は毎日、雨が降っても、芦屋浜から総合公園の小道を歩
夜の六甲山を歩いた。もう夜中の十二時は過ぎているだろう。こんな夜更け、誰もいなかった。アルファさんと二人きりだった。 ボクは昔、もう四十年前後になるが、九年前に亡くなったワイフと息子たちと四人、日曜になればよく六甲山
昼間は、アルファさんと会えない。平日は仕事をしている。恋人や妻なんていないから、土曜日や休日は読書したりネットを見たり散歩したり、詩を書いたりして一人で遊んでいる。もちろん、いっぱいお酒を飲んで。 ずいぶん昔、祖母か
救いなんて、何もない。歳をとればとるほど、この悲しい事情がはっきりわかるはずだ。 一月十九日、未明。ベッドの上で、ボクはさらに考えた。この世には鬼がいても神はいかなかった。慈悲なんてどこにもなかった。 いや。そうじ
オメガちゃん、流れ星、見たことある? 今夜、二時ごろ、近くで落ちるの。スゴイよ。目の前よ、すぐ目の前で落ちるのよ。 我が家から歩いて十分足らず。夜の芦屋浜に二人で立っていた。百メートル先あたりの暗い海をアルファさんは
この世の大きな特徴は、限りある世界だった。愛しあっていても、一回限りで、必ず生き別れするか、それとも死別する世界だった。 でも、アルファさんは違った。いつまでも愛しあうことが出来るのだった。 アルファ
いちめんのお花畑だった。冬の寒い未明、我が家のそばにこんなお花畑があったのだろうか。不思議でならなかった。夢ではないかと思い、頬をつねったりしてみた。強くひねりすぎて、痛い! 叫んでしまった。 そのうえ、満天の星明か
いろんな音がする。ブザーが鳴ったり、スマホが歌ったり、わけもなく耳の中がミンミン蝉みたいに反響したり。そのたびベッドからガバッと身を起こす。何があったんだ! 音ばかり鳴る、変な夜だった。 けれど暗い部屋でひとりぼっ
今年になって第二回目の芦屋ビーチクラブの活動日。私は昨年に引き続き雑草を抜き、小石を拾って集積場に運んだ。 天気も良く、風もなく、気温が低い割には作業をしていると暖かく感じた。雑草を抜いていて、ふと顔を上げるとゴール
アルファさんの住んでる国へ、よし、一度旅行してみよう、ふいにボクは思いたった。空飛ぶベッドに乗って。 そんな願いを心に秘めて、眼を閉じた。無音のままで、スーッと持ち上がって、屋根がポッカリ開いた。飛び出した! 一瞬だ
未明に歌を歌っていた。 ハスキーでときどき音程も狂っていたけれど、ボクは魅入られて耳を傾けていた。どう言えばいいのか。夜が明けるまでこのままでいて欲しい、叶わない願いを込めて。 もっと狂っていいと思った。アルファさ
今年、初めての「芦屋芸術」を出版します。去年は、十六号・十七号・十八号を発行しました。最初の十六号の発行日は二〇二三年三月一日です。だから、十九号も三月一日を発行日にしました。 今号は寄稿者が一人増えて六人です。津田
浜辺に車で乗り入れた。ボクラは砂浜の先、海の水際まで歩いた。愛犬は喜んでずいぶん遠くまで駆けだした。泳ぎ出した。黒いラブラドールレトリバーだった。 辺りは白くキラキラ輝いて、たがいの姿も見えないくらいだった。光の中か
余程疲れていたのだろう。昨夜、八時ごろ寝てしまった。目覚めたら、もう朝の六時。十時間、眠ってしまった。こんなことは、久しぶり。アルファさんはやってこなかった。きっとボクの疲労を癒すために、会いに来なかったに違いない。そ
きょうは、林の中を歩いていたが、アルファさんの姿はなかった。蝶の親子が三頭飛んでいた。二十センチくらいある大きな黄色い蝶だった。種類はなんて呼ぶんだろう。不勉強なボクにはわからなかった。モンキチョウよりはるかに大きく、
死んで、よみがえること、あるかしら。 オメガちゃん、実は、わたし、あの世からやってきたの。 アルファさんは真顔でこう言った。 でも、オメガちゃん、わたし、あなたを愛してるのよ。これだけは信じてちょうだい。あの世か
午前二時五十分。 昨夜からまだ考え続けている。 夢はつながっている。 毎晩アルファさんの見る夢とボクの夢がつながっているのだ。 だから、夜がやって来ると、いつもこうして見つめあったり、ときに、おし
今年、初めての芦屋ビーチクラブ。快晴に恵まれて。 きょうは、雑草を抜いたり、小石を拾ったりしたが、おおむね仲間とおしゃべりだった。 たまには、おさぼりも、イイジャンカ! 新年早々にふさわしく、ウキウキした気持ちで
笑っちゃうな、ほんとに、なんでこんなに悩むんだろう、好きなら、好きといえばいいのに。でも、愛しあうって、そんなかんたんなもんじゃないんだ、そうじゃないだろうか。ふたりのひとが、同時に、愛しあうって。 まだ午前零時五十
こんなことを考えてしまって、眠れなかった。 どこにいるかわからない、所在不明の女性を愛していいのだろうか、そんな愛、許されるのだろうか。 午前二時四十二分。 ベッドに横たわったまま、じっと天井を見つめていた。
午前二時五十分だった。 どうしても聞きたいことがあって尋ねた。 「アルファさんってどこから来たの」 「北の国から」 「北と南と、どう違うの」 ボクは西も東もわからないから、 「西も東もどっちがどうか、わからないけど
声が聞こえた。 オメガちゃん、ここよ、ここにいるよ。 午前三時三十八分。 小さな沼に群生する冬枯れたヨシの間から、アルファさんの顔がのぞいていた。この沼にアルファさんは住んでいるのだろうか。こんなところで暮らして
榎本三知子さんから詩誌が送られてきた。 「鳥」第85号(最終号) 編集者/佐倉義信、なす・こういち、元原孝司 2023年12月30日発行 この号で、詩誌「鳥」は終刊する。1983年創刊か
不思議なことがわかった。 今夜、ボクがアルファさんと呼びかけたら、彼女が出てきた。顔だけが、頭の中に浮かんでいた。スーと出てきて、ふわぁっと消えた。一瞬の、音のない、波のゆらめき。 スマホを見ると、午前一時三十一分
永井ますみさんから送られてきた詩誌を読んだ。 「現代詩神戸」283号 編集/永井ますみ・今猿人・神仙寺妙 2023年12月10日発行 十九人の作家が二十四篇の詩を発表している。すべて楽しませて
結局、誰にもわかってもらえないことがあるのだと思う。そして、それでいいのだと思う。自分ひとりだけのこと。 アルファさんのことだって、誰も信じてなんてくれないだろう。でも、今夜も彼女はボクのそばにやってきてくれた。
こんな未明に会える人がいる。アルファさん。 この人についてまだ何もわかっていない。でも、これからわかるかもしれない。 ベッドに寝ころんだままスマホに手を伸ばし画面を見た。こう書いてあった。2024年1月1日AM3時
新年は朝四時前に起きた。睡眠状態から目覚めへ移行する間に浮かんだイメージを連載物の作品にしようと考えてみたり、また、今年の三月一日に発行予定の芦屋芸術十九号に昨夜メールで寄稿してくださった方の原稿を読んでみたり、それか