芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

ハイネの「ドイツ古典哲学の本質」

 最近、フォイエルバッハの本を数冊読んだので、言うまでもなく彼は宗教批判やドイツ古典哲学批判などをやっているが、よし、それならば、私はそう思ってこの本を読んだ。    「ドイツ古典哲学の本質」 ハイネ著 伊藤勉

「リヴィエール」182号を読む。

 永井ますみさんから送られてきた詩誌を読んだ。    「リヴィエール」182号 発行所 正岡洋夫 2022年5月15日発行    十七人の詩人の作品が、巻頭詩を含めて十九篇、このうち七人の詩人がそれぞ

隣家の窓

 外では雨が激しく降りしきっているようだった。  ふたりの体が隠れるか隠れないか、そんな小さな蒲団にくるまって、わたしはあなたと裸になって抱きあっていた。枕もとに座って灰色の服を着ているあなたが、裸になって夢中に愛しあう

清位裕美の「カアカア」

 私は先月、四月十九日に出版した「芦屋芸術十四号」で、「カアカアと、このひとときを」という作品を発表した。この作品を読んで共鳴した、そういうことで私は「カアカア」を描いた水墨画をメールで頂戴した。  ここに、この水墨画の

「月刊ココア共和国」2021年9月号を読む。

 こんな詩誌を読んだ。    「月刊ココア共和国」2021年9月号 発行人 秋亜綺羅 あきは詩書工房 2021年9月1日発行    五十四人の作家が、それぞれの言葉で、様々な作品を書いている、それを収

今年もミニバラは、咲いた。

 妻悦子が永眠してから、今年の春、八回目のミニバラが咲いた。数日前、例年のごとく彼女の骨壺と遺影の前を、二輪で、飾った。  きょうも、ステキな赤い衣装で着飾って、二人で立っている。

シェリングの「人間的自由の本質」

 このところフォイエルバッハの本を読んでいて、彼が批判している哲学者のうち、私はこれを選んで読んだ。    「人間的自由の本質」 シェリング著 西谷啓治訳 岩波文庫 1980年2月20日第26刷  

水音

 久しぶりに私は泳いでいた。妻とはスポーツジムのプールでよく泳いだ記憶がある。多い時には週に三回ないし四回も泳いでいた。三十年前後昔の話になるが、マスターズの水泳大会に出場して、高校時代水泳部にいた彼女はメダルさえ取って

私の町の広場が、芦屋市主催の「オープンガーデン」に参加しました!

 私の町の街区には、二カ所広場があります。海洋北広場と南広場です。  このたび、芦屋市の主催する「オープンガーデン」に町の有志で数年前から活動している海洋町ガーデン倶楽部が参加しました。そのメンバーを中心に住民が協力して

Mという女

 最近、といってもここ数年のことになるが、ずっと疲労の中で私は生きていた。  何故? 理由はわからなかった。疲労の渦中にあるものにとって、理由を考えることそれ自体が、いよいよ加速して疲労の中へ落ちてゆくのだった。  こん

カアカアに、何があったんだ?

 けさ、庭の掃除が終わった後、五月十一日から芦屋市が催すオープンガーデンに町内が参加したので共用の花壇の掃除をお手伝いして自宅に帰った時、八時前、我が家のウッドフェンスの縁の上にカアカアがいた。 「カアカア、ちょっと待ち

カアカア、ちょっとおもやつれして。

 今日の午後一時頃、一か月近く姿を見せなかったカアカアが、いつもの場所、我が家のウッドフェンスの縁に立っていた。心なしかおもやつれした姿だった。  彼女は先月の九日以来、一度も姿を見せなかった。近くの公園の木に巣を作り、

新詩集「七年の後に」が出来ました!

 新詩集が出来ました。    フォト詩集「七年の後に」 山下徹著 発行所 芦屋芸術 発行日2022年5月19日 定価千円    我が家の近所を散策中、ふいに浮かんだ言葉と、その言葉を誘発した場所をスマ

フォイエルバッハの「唯心論と唯物論」

 フォイエルバッハは、一八〇四年七月二八日にバイエルンのランズフートに生まれ、一八七二年九月一三日、ニュルンベルクの近郊レッヒェンベルクで没している。六十八歳だった。  いままで私が読んだこの著者の作品を時系列であげてみ

晩年の夢

 昔、かなり親密な取引があった建築会社のオーナー、もう三十年近く音信が途絶えているが、彼とまた新たに取引が始まっていた。  すでに彼の会社は息子の代に変わろうとしている途上だった。時代は、AIまで導入して人件費を限りなく