芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

思う

もう寒い日は来ないだろう 秋まで この厚手のズボンも 洗おうと思う   冬ものをきれいさっぱり洗濯機に入れて 物干しに干そうと思う   きょう 春を迎えようと思う もう少し 生きてみようと思う

冬眠から目覚めて十五日目です!

 きょうのお昼、亀さんの池の掃除をしました。先月二十七日に冬眠から目覚めて、ちょうど十五日目。半月間、無事でした。  まだ空気は冷たく、ご飯はほとんど食べません。これから暑くなっていくときっと食欲も旺盛になるでしょう。

西山光子詩集「ハコベの唄」を読む。

 春の七草のひとつ、ハコベは小さな白い星の形をした花を咲かせる。可憐な花。この花の名を題にした詩集がある。    「ハコベの唄(うた)」 西山光子著 澪標 2024年3月31日発行    名は体を表す

ヘイ・ヒョコ・メリッケン小唄

優しくされたら うれしくて ヘイ 冷たくされたら かなしくて ヘイヘイ   雨ざらしの下で 生きてるんだもん ヒョッコン 腹ペコのままで 泣いてるんだもん ヒョコヒョコ   あおむいたまま 倒れていく

あなた以上にあなたを知っているもの

 いまから思えば、ほとんど心の奥底からほとばしりでた叫びに近い文章ではなかったか。私が知っていた彼。私より七八歳年長だった彼。もう六十年近い昔の話だが。その彼が遺した文章、まだ十代半ばだった私はそれをむさぼるように読んだ

終わること

四月八日。夕暮れ、雨の中を散歩した。きのうに続きまだ満開の桜も雨に濡れていた。木の下は花びらが散り始めていた。このまま夜の雨に打たれて、あすの朝は姿を変えているのだろうか。   雨に打たれた花びら あなたもこう

芦屋ビーチクラブ その34

 暖かくなってきた。午前八時過ぎ、芦屋浜に出た。リーダーの中村さんにきょうは不参加の旨口頭で伝えた。「ヤマシタさん、ボランティアですから、無理しなくていいですよ」  午前十一時から友人が出した本の出版記念会。二次会があっ

花ざかり

 きょうはどうしても行こうと思っていた。十年前まで、もうこの世にいない悦子と愛犬ジャックと三人で花の下を歩いたキャナルパークへ。  思った通り、あの時のようにまた花は満開だった。ただあの時と違っているのは、ひとりで歩いて

確認

 五十年後の話になるが、そのころ日本でもテロが年に二回ないし三回発生し、やがてテロがテロを呼んだ。あちらこちらで頻発して、百年後には廃墟だった。もちろん言うまでもなく、これは日本だけの現象ではなく世界の隅々にまで拡散して

もうルルは飲まない。

 微熱、咳、喉の痛み。これらによっておとついは悩まされた。仕事も休んで一日中寝ていた。といってベッドに寝転んでばかりいたわけではなく、それなりに家事もやっている。食事も自分で作っている。午前三時ごろ起きて作品を一篇完成さ

一日中寝ていた。

 きのうは久しぶりに会社を休んだ。意識が半ば朦朧状態だった。一日中寝ていた。  風邪気味なのだろう。微熱があり、咳込み、喉が痛い。また、二三週間前から右顎の関節か筋のあたりか、痛くてつらい。何もしなければ痛くはないが、食

逃げるために生きる日々

 深夜の町を彼はさ迷い歩かなければならなかった。二人の男に追跡されながら、疲れ切った彼女を引きずるようにして路地裏を迷走するのだった。  彼女、とりあえずE子とでもしておくが、日本国内で或る事情があって彼等はカンボジアで

「だった」は過去形だった

今夜は眠れなかった 好きだった女の夢を見て ベッドで寝ころんでいた 点々とした いや 間違った 転々だった だが決して夢の女ではなかった 思い出だった 一時 彼のワイフだったから つまり この「だった」は過去形だった 過

笑顔が張り付いていた

崩れていく もう虫一匹いない チリひとつない 無音で 無抵抗のままで   ことの次第はこうだった…… ……人の形をした 緑色の汁があらわれ やがて紫の泡になり 乳色の薄い膜になって 消えた   あれは