芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

「リヴィエール」180号を読む。

 永井ますみさんから送られてきた詩誌を読んだ。    「リヴィエール」180号 発行所 正岡洋夫 2022年1月15日発行    十七人の詩人の作品十八篇、扉の裏に一篇、八人の詩人のエッセイ八篇が収め

「風のたより」24号を読む。

 伊川龍郎さんから雑誌が送られてきた。    「風のたより」24号 発行所 風のポスト 2022年1月    執筆者は同誌23号と同じ五人のメンバーだった。  まず小坂厚子の詩二篇。二篇とも特殊な時間

七年の後に その41

まいにち 雲ばかり見ていると   その思い出が 心にいっぱいたまってくる だから   ボクは 雲が大好きだ   とても ふわ ふわっ として あなたの口のなかで   綿菓子がとける

「風のたより」23号を読む。

 こんな文芸誌を読んだ。    「風のたより」23号 発行所「風のポスト」 2021年8月    この本は五人の作家で構成されている。概略を以下に紹介しておく。  まず巻頭、伊川龍郎の現在の日本の状況

七年の後に その40

きょうも 雲を見ていた   もし君があの空から帰ってきて もう一度同じ屋根の下で暮らせたら   ボクはこんな詩なんて 書きはしなかった     *写真は、二月二十四日朝九時頃、 近

七年の後に その39

きょう お昼過ぎ   六甲山を背に 芦屋浜を歩いて   海と その上に浮かぶ 雲を見ていた   四十三年間 愛しあって   別れた     *写真は、二月二十三

「芦屋芸術」十四号を出版します!

 去年の四月十九日に「芦屋芸術」十三号を出したきり、それ以降、もう「芦屋芸術」は廃刊にしよう、そう考えた時期も、私にはあった。だが、アレコレ逡巡した結果、やはりトテモ業が深いのだろう、もう一度、やることにした。  今年の

「幻想と怪奇」第五巻から「表現主義時代の幻想」を読む。

 表現主義、そんな言葉を耳にすれば、いったいどんな作家の名前が脳裏に浮かぶだろうか? 例えば、カンディンスキーか? カフカか? トラークルか? シェーンベルクか? 一九一〇年代から二〇年代半ば辺りにドイツ周辺で閃光を放っ

七年の後に その38

七年前 えっちゃんは 骨と煙になった   いずれ 私も 骨と煙   生きてるうちが 花だった     *写真は、二月二十二日お昼前、我が家の庭に毎日遊びに来るカラス。私を見つめてい

鈴木大拙の「神秘主義」

 精神医学に従事していたミンコフスキーの「精神分裂病」を読んだとき、これは確か去年の九月の話だが、ベルグソンの思想に強く影響されている主旨が述べられていた。彼はベルグソンの前期の思想に影響されたのだろうが、私は後期の作品

七年の後に その37

えっちゃんといっしょに暮らした 四十三年間 とても楽しくてしかたなかった   それ以上でも 以下でもなかった     えっちゃんを喪ってから 七年間 ものすごくしんどかった   そ

七年の後に その36

花は ずいぶん昔から きっとたましいに寄りそってきたに違いない   私はふとそう思った     *写真は、二月十六日午前七時頃、五年余り前に永眠した愛犬ジャックの骨壺を彩る花を、スマホで私が

七年の後に その35

かつて肩をならべて歩いた小道を きょうもひとりで歩いていた   悲しみの涯に 喜びがあふれていた     *写真は、二月十五日お昼頃、芦屋総合運動公園の西端の小道を、スマホで私が撮った。

「パスカル小品集」を読む。

 この本を開いたのは、先月、ラファイエット夫人の「クレーブの奥方」を読み十七世紀フランス作家の文章をもう少し読んでおこうと思った、それに加えて、去年の九月にベルグソンの「道徳と宗教の二源泉」の中で神秘主義についての積極的

七年の後に その34

七年余り 花に助けられてきたのが わかった   けさ 水替えしながら きれいなあ そうつぶやいていた     *写真は、二月十三日午前七時過ぎ、台所の流し台で水替えしている花を、スマホで私が

七年の後に その33

愛する人と死別した人は ともに歩いた道を 何度も歩くだろう 昼も 夕も 何度も 狂った眼と足で まぼろしが 笑みを落とす道を   *写真は、二月十二日お昼頃、潮芦屋緑地の松に覆われた小道を、スマホで私が撮った。

七年の後に その32

同じところから出て来て 雲になったり ボクになったり えっちゃんになったり   宇宙はトテモにぎやかだった     *写真は、二月十一日お昼頃、芦屋総合運動公園の樹木に囲まれた遊歩道から雲を

七年の後に その31

北から 南へ 雲が動いていた   冷たくもない 優しくもない 雲が     *写真は、二月十一日午前七時過ぎ、我が家の庭から雲を、スマホで私が撮った。

七年の後に その30

雲を見ていると 心が軽くなって 浮かんでいた   *写真は、二月十日午後五時半頃、我が家の裏の歩道から、夕日が落ちた空と雲を、スマホで私が撮った。

ベックフォードの「ヴァテック」

 私が二十五歳の頃に「幻想と怪奇」という文芸誌が出版されていた。この文芸誌は、創刊号が一九七三年四月一日に三崎書房から出版され、第二巻以降最終刊の第十二号までは歳月社から出版された。この最終刊は一九七四年十月一日に発行さ

かゾットの「猫の足」

 先日読んだカゾットの「悪魔の恋」は、「幻想と怪奇」という雑誌の創刊号と第二号に連載されたものだが、同じ著者の別の作品が「幻想と怪奇」第三号と第四号に連載されているのでご紹介しておこう。    「猫の足」 カゾ

かゾットの「悪魔の恋」

 十八世紀のフランス文学を読み進んでいて、先日、レチフの「パリの夜」を読み終えた時、フランス革命のさなか、ギロチンで死刑になった作家を思い出した。早速、私はこの作家の作品を読んだ。    「悪魔の恋」 カゾット

七年の後に その27

雲は えっちゃんではない   雲は 雲でもない   ボクがたまたま日本語で 君を雲と呼んでみただけ     *写真は、二月三日お昼頃、芦屋浜から雲を、スマホで私が撮った。

七年の後に その26

きょうもお昼頃 公園で一人で立っていた えっちゃん楽しかったな そう呟いていた    時間が解決するよと友達は慰めてくれた  でも  愛に関して言えば  時間は解決しなかった  もう七年は過ぎてしまったけれど