芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

「芦屋芸術九号」が出来ました!

 やっと「芦屋芸術九号」が出来ました。「やっと」というのも、四年前の六月十一日に八号を出したきり、ボクの個人的な事情で、休刊状態でした。    「芦屋芸術九号」 著者=藤井章子、山中従子、山下徹 発行所=芦屋芸

國分啓司の「おむすび坊や」を読んだ。

 先夜、北野辰一の紹介で國分啓司を交えて三人で飲み食いを楽しんだ席で、國分から彼の作品の原稿のコピーをいただいた。「おむすび坊や」という作品だが、いい作品だった。未発表作品なのでこれ以上言及するわけにはいかないが、こんな

ヴィーゼルの「夜」

 この本の著者は、トランシルヴァニアのシゲトという小都市でユダヤ人の商人の息子として一九二八年九月三十日に生まれている。一九四四年にナチスドイツはこのシゲトに二つのゲットーをつくり、シゲトに住むすべてのユダヤ人を隔離し、

小倉豊文の「ヒロシマー絶後の記録」

 高村光太郎はこの本の序でこんなふうに書いている。   「この記録を読んだら、どんな政治家でも、軍人でも、もう実際の戦争をする気はなくなるであろう。今後、せめていわゆる冷たい戦争程度だけで戦争は終わるようになっ

「芦屋芸術」の夜

 昨夜七時頃、阪神芦屋駅前の喫茶店「西村」でボクは北野辰一と落ち合った。彼は友人の若い男を連れていた。若い男、國分啓司という男だが、来年発行する「芦屋芸術十号」に寄稿したい、とそういうことで、ボクラ三人はあれこれとりとめ

金井利博の「核権力ーヒロシマの告発」

 平和運動を持続させる、その運動を日常生活の一部として一日一日を送る、それは至難のわざであろう。ボクなどは、平和で楽しい時間を過ごすのはとても好きだが、民衆をかえりみない国家権力によって抑圧されたり破壊されたりした人々の

しし座流星群の話

 きょうは小雨が降っているか、少なくとも曇っているだろうと思っていたが、午前四時頃に起きて、念のため玄関を出て夜空を見上げた。天気予報を裏切って、驚いたことに、下弦に近い月とオリオンがボクの眼前に輝いていた。  きょう、

蜂谷道彦の「ヒロシマ日記」

 先日読んだ福永武彦の小説「死の島」では、広島の原爆で被爆した主人公の女性は自分の被爆体験から一歩も外へ出ることが出来ず、心の内部では破滅した広島の市街を原風景にした虚無の世界に住み、遂に同居している女友達を道連れにして

福永武彦の「死の島」

 ボクは初めて福永武彦の小説を読んだ。何故今まで読まなかったかという理由は後ほど書くことにして、読むに至った理由は、今年の一月からずっと読み続けている所謂「原爆文学」のおかげで、この小説を読むことが出来た。