芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

「ブッダのことば」

 意外ではあるが、この書には慈悲への言及が極めて少ない。慈悲を主題にしているのは、本書の33頁から34頁にかけて、「第一 蛇の章、八、慈しみ」だけである。まだこの頃、覚者(仏)の慈悲というはっきりした考え方はなく、世間で

「浄土三部経」

 この本をボクは二十七歳の時に読んだけれど、読後、西暦100年前後に北インド辺りで書かれた仏教徒の宗教的ユートピア論だと思った。物質的・経済的に貧しい人々を底辺で働かせて、ほんの一握りの軍事力を持った権力者が贅沢三昧の生

星野元豊の「講解教行信証 補遺篇」

 本書は星野元豊が八十六歳の時に上梓されている。丁度四十歳年下だったボクは、三十代半ばから徐々に好きだった宗教・哲学あるいは経済学の書をほとんど読まなくなっていた。もともと詩、とりわけ明治以降の近代詩から現代詩を十代から

星野元豊の「講解教行信證 化身土の巻(末)」 

 星野元豊の「講解教行信証」全六巻を読み終わった。長い浄土の旅から自宅に帰ってきた。自然虚無の身、無極の体。はたしてこの境界に達し得たか?  思えば三十代前半、第二巻の「講解教行信証 信の巻」の道半ばで挫折。言い訳になる