芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

晩年

毎晩、マザーとワイフが漢字の二を描いて蒲団に横たわっている、そこには合計155年の歳月が。マザーはといえば、状態がいい時はワイフが長女でありその名前さえ言い当てることが出来るが、悪い時は、オネエサンと呼ぶ。 すべては老い

肉に花火

昨夜、N夫妻がやって来た。去年もそうだったが、我が家で焼肉パーティー。その後、午後八時前から始まる芦屋の花火大会。去年は、ボクとワイフ、N夫妻の四人だったが、今年は東京マザーが参加している。N妻(エヌヅマ)のご指導で、ホ

不思議の国のマザー

入れ歯がない、ワイフが騒ぎ出した。皿に置いたマザーの入れ歯をワイフはあやまって蒲団の辺りに落としたのだが、下の入れ歯は見つかったのに、上の入れ歯が行方不明。入レ歯ガナイワ、ドッコイショ、入レ歯ガナイワ、ドッコイショヨイコ

右耳の周辺で

東京マザーが我が家へやって来て、ちょうど半月たった。左耳はほとんど聴こえないが、右耳は補聴器で大声を感知する。だから、いつの間にか、我がファミリーはマザーの右耳のあたりで大声をたてている、おおげさな身振り手振りをそえて。

マザー

ワイフのマザーが来た。 そして変わらず芦屋川は流れ、十日がたっていた。 確かに彼女の認識も記憶も薄明の世界へ、忘却の地平線へいままさに沈まんとしている。 それは夕焼けの流れる川のように美しい。