芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

ジャン・ド・ベルグの「イマージュ」再読

 この本を読んだのは三十歳前後の頃だろう。過日、マゾッホの「毛皮を着たビーナス」を再読したので、この作品ももう一度読んでおこう、そう思った次第だった。    「イマージュ」 ジャン・ド・ベルグ著 行方未知訳 角

芦屋ビーチクラブ その82

 確かに秋めいてきた。といって、もう九月の終わりに近づいたのだけれど。  きょうも、日曜日の朝は芦屋浜の雑草を抜いていた。バカの一つ覚えだろうか。もちろん雑草だけではなく、その周辺に散らばったタバコの吸いガラ、捨てられた

亀、キキョウ、彼岸花。

 きょう未明、二時過ぎに帰宅。昨夜もスナックで、さまざまな物語が酔客の口もとから流れ出た。男と女と。さまざま。統一理論や統一見解は崩壊した。彼、彼女の常識に毛が生えたような表側の話ではなく、裏側だった。個別の、アナーキー

マゾッホの「毛皮を着たヴィーナス」再読

 この著者の作品は、「残酷な女たち」という中短編集を読みその読書感想文を去年の9月5日の芦屋芸術のブログに投稿している。興味のある方は参考にして欲しい。    「毛皮を着たビーナス」 ザッヘル・マゾッホ著 種村

ひっそり そして やがて

誰もいない庭が 頭の中に浮かんでいる   物音もなく 移動していく   ひっそり 頭の東から 西へ   庭は消えていた やがて 暗い泡に満たされて   いっぱい 静かな泡に

ウォルター・デ・ラ・メアの「ムルガーのはるかな旅」を読む。

 この著者の長編幻想小説「死者の誘い」は今年の五月に芦屋芸術のブログに紹介している。このたび、同じ著者のこんな長編作品を読んだ。    「ムルガーのはるかな旅」 ウォルター・デ・ラ・メア著 脇明子訳 ハヤカワ文

濃緑の液体

 まだら模様が、彼の眼前で、次第に形を成してきた。不思議なこともあるもんだ。全体がつぶつぶのシズクで覆われていたまだら模様の画面に、ひとつの形が、顔だ、顔、間違いない、あの人の顔が。  まだ生きているのかもしれない。なぜ

詩誌「リヴィエール202」を読む。

 永井ますみさんから詩誌が送られてきた。    「リヴィエール202」 発行所/正岡洋夫 2025年9月15日発行    この詩誌は、十四人の執筆者が十五篇の詩作品、そのうち六人の方が六篇のエッセイ、

芦屋ビーチクラブ その81

 やはり日曜日の朝は雑草を抜いていた。いつも作業中、余計なことばかり頭に思い浮かべてしまうが、きょうはほとんど無心に雑草を抜き続けた。  あえて「ほとんど」と断っておいたが、というのも、雑草を抜きながら、私は「雑草」とい

亀と靴、そして「無名の草」

 きょうは午前零時過ぎに帰宅した。最近少し寝不足なので早く帰ることにした。それにしても昨夜、二軒目のスナックは見事だった。二人連れの女客と五人連れの女客が意気投合して、最後は大合唱。男客一人の私は呆然としてソファーに座っ

オレ達の習性

 虫がいるのかもしれない。いや、そうに違いない。朝起きると腋の下や腰回りなどで、カユイ。カユクてタマラナイ。最近、そんな朝が、シバシバ。しばらく、腕組み。これでは、ダメ。オレの将来は暗い。Mはそう結論付けた。早めの対策が

「芦屋芸術24号」を出版します!

 芦屋芸術24号の編集・校正が出来ました。発行日は今年の11月1日です。本日、原稿をいつもお願いしているコーシン出版に送ります。内容は以下の通り。ご期待ください。尚、芦屋芸術の今年の出版はこれでオシマイ。芦屋芸術25号は

枯葉の宿命

秋になれば 乱れ落ちている 生命の枯葉が あちら こちら   先生 汚泥の中に落ちて もがき苦しんで暮らしてるって そんな生物 いるって ほんとですか   いい質問だね そんな生物は 結局 汚泥が好き

詩誌「現代詩神戸」290号を読む。

 永井ますみさんから詩誌が送られてきた。    「現代詩神戸」290号 編集/今猿人・神仙寺妙・永井ますみ 2025年9月10日発行    今号は十八人の執筆者が二十一篇の詩作品、詩集評一篇、エッセイ

復活はない

解がいくつもある場合があることを わたしは知らないわけではなかった むしろ 生活では各自それぞれ ほとんど無数の解があるのかもしれなかった 君の言う通りだ 確かにそうだろう だが それじゃあ  こいつはトテモ不可解ではな

芦屋ビーチクラブ その80

 きょうは日曜日。朝八時からいつも通り、芦屋浜の清掃作業へ。  少年たちから大人まで、浜の周辺は賑わっている。駐車場には、芦屋市消防本部から消防救援隊の車両が一台待機している。いったい何が。  潮芦屋アクアスロン大会が本

亀と転落劇

 昨夜、いつものようにスナックで遊んだが、二軒目で飲んでいると、以前ここでご一緒した女性が遊びに来た。再会。二人でおしゃべりをしたり、カラオケを楽しんでみたり。とにかく彼女の歌はプロ級で、若い時に芸能界に入っていたら、そ

力津耀子詩集「記憶のジグソーパズル」を読む。

 力津耀子さんから詩集が送られてきた。    「記憶のジグソーパズル」 力津耀子著 発行所/さいけい舎 2025年8月15日発行    まず発行日を見てもらいたい。終戦記念日である。初めて出版する詩集

水の中の激情

 おそらく夢を見ていたのだろうか。だったら、どうして、こんなにも体が濡れているのだろう。頭髪から足の爪先までびっしょり。ぬるりん。肩や腰からいっぱいシズク垂らして。  魚は二十三匹いた。そんなに大きな魚ではなかった。全長

文芸誌「ブーゲンビリア」第2章第4号を読む。

 直樹一雄さんから文芸誌が送られてきた。    「ブーゲンビリア」第2章第4号 発行者/直樹一雄 2025年9月1日発行    五人の執筆者が十篇の詩、五篇のエッセイ、そして小詩集と小説を発表している

「絶対」が存在する

帰って来ないことは わかっていた 君にそんなお説教をされるために ボクはこのお話を語りかけたんじゃあない わかってくれ もう 絶対 帰って来ないって とても悲しいじゃないか 悲しすぎて 涙も出ないじゃないか

「風のたより」31号を読む。

 伊川達郎さんから文芸誌が送られてきた。    「風のたより」31号  発行所/風のポスト 2025年9月3日発行    今回は、三人の執筆者が、それぞれ詩、連載中の評論、それからエッセイを発表してい

芦屋ビーチクラブ その79

 きょうも芦屋浜の雑草を抜いていた。日曜日の朝、恒例の芦屋ビーチクラブの活動日。  雑草を抜いていると、仲間の女性から声をかけられた。彼女はいつもマメシバを連れて芦屋浜のゴミ拾いをしている。そのワンちゃんが私の体にすり寄

亀と夜遊び

 猛暑が続いていたが、今朝は少しだけ秋めいていた。少しだけ秋めいて、そんな表現をしたというのも、暑いには暑いが、時折、秋をしのばせるヒヤリとした風が吹きすぎていく。きのうの夜明け頃まで台風十五号の影響で雨が降っていたが、

後藤光治個人詩誌「アビラ」23号を読む。

 後藤光治さんから詩誌が送られてきた。     後藤光治個人詩誌「アビラ」23号 編集発行/後藤光治 2025年9月1日発行    今号の「アビラ」はこういう構成をとっている。  まず巻頭に「ロラン語

湿地帯

 樹木に覆われているのだろうか。樹木のトンネルだろうか。そんな馬鹿な。待てよ。だったら、それとも、レンガとか、コンクリートだとか……外面を墨で固めたのだろうか、黒く細長い穴がずっと続いているが、いったい何で出来ているのか