芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

亀、そして体調不良。

 やはり体調不良だった。昨夜は県立芦屋高校時代の友人三人と阪神芦屋駅近辺の居酒屋で飲んだ。ひとりは東京から、ひとりは三宮から。そのあと、行きつけのスナックへ足を運びカラオケを楽しんだ。戦後昭和の唄。このスナックも昭和レト

後でね

多少 困惑気味で ボクは 黙って 見つめていました あなたは とても うれしそう 大きな目を見開いて じっと上目遣いで 首を傾げ 意味ありげに 見つめ   もう少しだけよ 待って   そして 右手を

深夜に浮かぶ画像

 一様に黄土色ではあるが、それぞれ、さまざまな濃淡があって、全面、繊維状に組み合わされている。どこまで行っても、それら、黒白に近い濃淡に繊維状に織り上げられた黄土色の画面が続いていた。あらゆる角度から映像され、時折、コメ

花火

まだ五月なのに 鼻火があがった   綺麗な 鼻火ですね   彼女がそう言ってくれた だから また   鼻火が出た 噴き出した   ボクのふたつの穴から

風車

くるくる回ります くるくる回ります いっしょに 脳天が くるくる回ります それは仕方ありません   脳天は 回るためにあります わかってください このくるくる   くるくる くり返し帰ってくるもの &

詩誌「ア・テンポ67」を読む。

 牧田榮子さんから詩誌が送られてきた。    「ア・テンポ67」 発行所/「ア・テンポ」の会 発行人/丸田礼子 編集人/牧田榮子・内田正美 2025年4月30日発行    十人の詩人がそれぞれ二篇、合

芦屋ビーチクラブ その67

 体調不良だった。原因はわかりきっている。やり過ぎ。私は「芦屋芸術」という個人誌を運営しているが、7月1日に発行する23号の編集・校正に先週、特に木曜日は会社を休み一日没頭していた。金曜日は会社に出勤したが午後からふたた

「別冊關學文藝第七十号」が届きました!

 本日、こんな本が届きました。    別冊關學文藝第七十号 編集人/浅田厚美 発行人/伊奈忠彦 2025年5月20日発行    この文芸誌は年二回発行されていて、今号は七十号記念号、356頁に上る分厚

亀と遊びと

 昨夜はいつものスナックで飲んで、十一時半に帰宅した。ここのところ、一週間くらい、体調不良。それでも夜、飲み歩く意志は固い。いずれ倒れるに違いないか。  今朝は六時半に起き、家事。カラス夫婦、スズメたちに朝ごはん。小雨パ

微細に破れてしまった

なかった 支えるものも 支えられるものも   砕け 散り 宙に 浮いていた ただ 昨夜の酒の記憶だけを残して   ふぁらふぁら 色もなく 音もなく 崩れて ごらん すっかり形も消えた

けれど それとも 五月雨

そこでは もう花が咲いているかもしれない ここでは まだ涙が咲いているけれど それとも 降っているのか     ⁂<追記>  ここまで書いて、つまり二行の文章と涙を流す花をノートにしたためた時、私の手

薄皮物体の話

 薄皮をむく、あるいは、はがす、そんな作業が執拗に続けられている。よく見ると、薄皮で覆われた物体は人体の形状はしていたが、男なのか女なのか、それさえ判明しなかった。顔ばかりではなかった、体全体が薄皮で覆われていた。だから

「芦屋芸術23号」を出版します!

 「芦屋芸術23号」の編集・校正が終わりました。内容は以下の通りです。   contents <招待作品> 絆 他二篇                                スミレ      5 入院総

亀と赤いミニバラ

 今週の木曜日、仕事を休んで自宅で「芦屋芸術23号」の編集・校正に没頭した。金曜日は午前中事務所で仕事。午後から編集を続行。夕方五時半から友人と阪神芦屋近辺の小料理屋で食事。生ビールを一杯の後、長野と山梨の白ワインのボト

最短小説 三篇

第一篇 死の対話   亡妻と旅行の計画をしていた。 洗面台の片隅に大きなゴキブリが死んでいた。     第二篇 裏側   山が消えていた 平野になっていた。裏側が見えた。 &nbs

綿菓子みたいに

悲しみが 重荷でなくなった トテモ軽くなった 綿菓子みたい   だって  悲しみもまた 生きる楽しみのひとつ   そうじゃないかしら 喜びだけが楽しみじゃない あなたを喪って   十一年 余

右だけの闇

傾いていた だから 右肩なのか 眉毛なのか 唇 それとも弓なりの三日月なのか   判然としなかった とにかく 少し柔らかそうだったけれど   わたくしは その上に 右手の人差指を置いてみた それでも 

コリアの「炎のなかの絵」を読む。

 こんな短編集を読んだ。私の二十歳頃に買った本だが。    「炎のなかの絵」 ジョン・コリア著 村上啓夫訳 早川書房「異色作家短編集第6巻」 昭和44年2月28日再販発行  この本には二十篇の短編小説が収められ

これは瞬間反射だろうか

灰色の空間に 大小さまざまな直方体が浮かんでいる 時たま見かける 小さな三角錐の物体 ちらほら ちらほらと   彼には浮かんでいることだけはわかっている だが 静止しているのか 移動しているのか ただ明滅してい

芦屋ビーチクラブ 番外編

 ボランティアってどういう意味か。ちょっとネットで調べてみたら、三原則があるらしい。自主性、社会性、無償性、この三つ。  今日は日曜日。朝の八時から九時まで芦屋浜の清掃作業をやっている芦屋ビーチクラブは、上の三原則を基礎

亀とサツキ

 昨夜はスナックを二軒はしごして、それぞれゆっくり座りもせず、そそくさと帰宅した。十一時半ごろだった。  今朝は六時半から家事を始めた。平日より三十分遅刻。気になっていることがあった。ツツジの花はしおれ、家の表側も裏側も

チョコレートの味

 正確に表現しようとすれば、こうだろうか。一辺一センチの立方体が十個棒状につながったチョコレートを彼は既に二個かじって食べてしまった。真正面にやはり頭が立方体をした白髪の初老の男が座っている。いや、あるいは立っているのか

たびたびとさまざま

恋の火は 二三か月続いて やがて鎮火した 燃えがらだけが残った 雨風に打たれて 崩れ 流れ去った 多少 心の底に まだ 焼け跡がこびりついてはいるが   もうかれこれ十一年になるか こんな火災が たびたび起こっ

アーネクライネ研究所

 私自身があの花の香りをかいでしまったためであろうか。記憶の断片しか残っていない。それは長い手紙が引き裂かれ、風に吹かれて、千切れた破片数十枚が手元に残されていて、それらをつなぎ合わせている作業に酷似していた。あちらこち

独身貴族

もうなにがなんだかわからなくなった 靴の中から財布が出てきた   そのうえ 赤いハイヒールだった

真昼

悲しみは書くことは出来ても 喜びを書くことは もう僕にはできないと思う 五月 花を見ても悲しく まして 失ってからこのかた 昨夜も ひとり酒 だが なぜ いま 歩いているのだろう この真昼に とりたてて あてはないけれど

芦屋ビーチクラブ その66

 先週はぺラゴス神戸という文章の会が日曜日の午前中にあってそれに参加するため、こちらの方は休んだ。きょうはこちらの方へ、こちらというのはもちろん芦屋浜のことだが、向かった。  やはり私のやる仕事といえば、毎回同様、芦屋浜

亀、春の陽気の中を。

 昨夜は従来になく早く帰宅した。午後十時半。別に飲み疲れたわけではなかった。多少夜遊びに飽きたのか。まだ春だけれど。  きょう六時半に起きて家事を済ませ、庭掃除をしている間にいつも集まって来るカラス夫婦、スズメたち、おそ

デ・ラ・メアの「死者の誘い」を読む。

 こんな長編の幻想小説を読んだ。    「死者の誘い」 W・デ・ラ・メア著 田中西二郎訳 創元推理文庫 1984年7月20日初版    著者はイギリスの幻想怪奇小説家。詩人。児童文学作家。日本では西条