芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

別れの歌

 午前4時頃、まだあかつきからも遠い、闇に沈んだベッドにあお向けに寝転がっていると、ふいに頭の中に音楽が流れてきた。悲しい曲。  この曲を残しておこうと、寝室を出て、いつもリビングに置いてある練習用のギターを手に、ダイニ

東川絹子詩集「母娘生活」

 ボクが東川さんとお会いしたのはもう30年くらい昔で、東淵さんの運営する「銀河・詩のいえ」だった。もともとボクは詩人や芸術家とお付き合いするのが苦手で、また、こちらから積極的にお仲間に入ろうとはしなかった。だからこの歳に

藤井章子「しらじらとして 白々と」

 ボクが藤井さんの作品を読み始めたのは、ここ4年くらいで、それ以前の作品はまったく知らなかった。ボクが彼女の作品にひかれたのは、一言でいって、自分自身のしっかりした地下都市を見事に確立しているからだろう。そして同時に、こ

ギリシア悲劇全集第三巻エウリピデス篇Ⅰ

 この集にはエウリピデスの10篇の作品が収録されている、この中で「レーソス」は偽作かもしれないと言われているが。    ギリシア悲劇全集第三巻(人文書院、昭和44年10月20日重版)    ギリシア悲