かつてボクはこの詩人の作品を一行も読んでいなかった。これと言って積極的な理由はなかったが、彼の本を手にしようとはしなかった。若い頃、所謂「ヒューマニズムの詩」や「説教臭い詩」に余り興味がなかったのだろう。 このたび、
月別: 2017年11月
マルクーゼの「ユートピアの終焉」
この本は、一九六七年七月十日から十三日にかけて、ベルリン自由大学において行われた講演、討論を構成したものである。訳者の解説によれば、この講演の行われる一ヶ月ほど前に、官憲のテロルに対する激しい抵抗運動があり、ベルリン自
マルクーゼの「エロス的文明」
この本は、「抑圧のない文明」、つまり現代のユートピアの可能性をフロイトの心理学をベースにして考察している。フロイトによれば、「文明は人間の本能を永久に抑圧することである」(本書1頁)。ということは、「抑圧のない文明」の
世界の詩集第九巻「ヘッセ詩集」
そして すべての罪悪と すべての暗い深淵からの たった一つの 熱望 終極の憩いがみたい そして ふたたび帰ることなく 墓場にたどりつきたい という熱望(「のけ者」第三連、141頁) 訳者星野慎
マルクーゼの「理性と革命」
なつかしい本を書棚から引っぱり出した。ドイツやイタリア、日本がファシズムに支配され、第二次世界大戦が勃発した最中、一九四一年にこの本はニューヨークで出版されている。 「理性と革命」マルクーゼ著 岩波書店
世界の詩集第八巻 「ヴェルレーヌ詩集」
この詩集も三年余り前に永眠したワイフの遺品の一冊だが、ボクは十七歳の時、「角川文庫」(昭和41年11月30日初版)で同じ訳者のものを買い、憑かれたように読み耽った記憶が、懐かしい。 世界の詩集8「ヴェル