芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

レチフの「パリの夜」

 今年の年初、一月に読んだ本の中で、アベ・プレヴォの「マノン・レスコー」は一七三一年、ラクロの「危険な関係」は一七八二年に発表されている。ならば、この一月の終わりを飾るには、この本がもっともふさわしいであろう。 &nbs

潮芦屋緑地にカラムクドリが来た!

 最近、我が家に近い公園におおぜいのカメラマンがやって来る。今朝も九時頃散歩していると、やはりたくさんのカメラマンで賑わっている。私はハンチングを被った年配のカメラマンに聞いた。 「ちょっとお伺いしますけれど、最近カメラ

七年の後に その24

冬だというのに 頭の中で また 蝉が鳴いている    二〇一四年七月十九日の夜明け 妻悦子が緩和ケア病棟で永眠して  お昼頃 棺で我が家へ帰った日、  庭の木で   いやに騒がしく  蝉が合唱していた。 &nb

七年の後に その23

まだ 心の中に 亡妻えっちゃんが住んでいる ぐずぐずして いつまでたっても あの世に 引っ越そうとはしない 毎日 笑顔で 見つめてくる あるいは ボクの心の座敷牢が 彼女を閉じ込めたまま イヤがるのを 無理矢理 監禁して

ケッセルの「昼顔」

 先日読んだラディゲの「ドルジェル伯の舞踏会」は一九二四年に、今回読んだこの本は一九二九年に発表されていて、両書とも、その当時ベストセラーだった。第一次世界大戦と第二次世界大戦の間にフランスで咲いた、愛欲を主題にしたアヤ

七年の後に その22

 今年は雪が多いのか。六甲山でさえ三度目の雪を被っている。中でも、今朝見る雪がもっとも華やかな風情だった。といって、雪国からすれば、すべてあどけない少女の薄化粧に過ぎないけれど。  こんな他愛ない思いを脳裏に描いて、六甲

七年の後に その21

 昨夜、雪が降ったらしい。私が起床した午前三時頃には既に止んでいたが、ガラス戸を覗くと、部屋から漏れる明かりや街灯や門灯に浮かんで、我が家のウッドデッキや門前を走るアスファルトの路面やらあちらこちらウッスラ雪に覆われてい

七年の後に その19

今年 はじめての いさよいの月を見ようと また 芦屋浜まで わたしは歩いていた こまかいミゾレのような雨は 七時前にはあがって 雲が切れ そこから星が出た   二〇二二年一月十九日 きょうはえっちゃんの月命日

ラディゲの「ドルジェル伯の舞踏会」

 やはり今年は年初から恋愛心理小説を読み続けてしまった。    「ドルジェル伯の舞踏会」 ラディゲ作 江口清訳 「世界文学全集」Ⅱ―4 河出書房新社 昭和39年7月10日初版    先日読んだラファイ

アベ・プレヴォの「マノン・レスコー」

 今年は年初から、「危険な関係」、「クレーブの奥方」に続いて、私はさらに恋愛心理小説の名作を読み進んでいたのだった。    「マノン・レスコー」 アベ・プレヴォ作 杉捷夫訳 「世界文学全集」Ⅱ-4所収 河出書房

後藤光治個人詩誌「アビラ」8号を読む。

 後藤光治さんから個人詩誌が送られてきた。    後藤光治個人詩誌「アビラ」8号 2021年12月1日発行    巻頭にはいつものように「ロラン語録」を掲げ、詩作品六篇、「ロマン・ロラン断章」、「清水

「現代詩神戸」275号

 永井ますみさんから送っていただいた詩誌を読んだ。    「現代詩神戸」275号 編集 三宅武・永井ますみ・田中信爾 2021年12月10日発行    十九人の詩人が作品を発表している。環境問題を扱っ

詩誌「布」三十八号を読む。

 先田督裕さんから詩誌を送っていただいた。  どこか「おかしみ」が感じられる詩が多々あった。特に男性群の詩はその傾向がいちじるしく、ほとんど「滑稽」と言えるのだった。    「布」三十八号 2021年9月20日

詩誌「リヴィエール」179号を読む。

 永井ますみさんから送られてきた詩誌を読んだ。    「リヴィエール」179号 発行所 正岡洋夫 2021年11月15日発行    十八人の詩人の詩十九篇、七人の詩人のエッセイ七篇で構成されている。

ラファイエット夫人の「クレーヴの奥方」

 数日前にラクロの「危険な関係」を読み、そうだ、恋愛心理小説の作品をもう少し読んでおこうと思い、この本を選んだ。    「クレーヴの奥方」 ラファイエット夫人作 生島遼一訳 世界文学全集Ⅱ―4所収 河出書房新社

ラクロの「危険な関係」

 新年が来た。私の年頭の読書体験は、これだ。    「危険な関係」上巻 新潮文庫 平成元年九月二十日十刷   同上    下巻 新潮文庫 平成元年九月二十日七刷   (ラクロ著 新庄嘉章、窪田般彌訳)  &nb