芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

死夢

この頃 深夜から未明にかけて 死体になる夢を見る 変色して 徐々に腐り ただれ ねとねとして 汁状に 眼 耳 鼻 口 頭のさまざまな穴からうじ虫が這いずりだし あるいは 首や下腹部の皮を破って うごめいている  内部では

移動

 足の裏に眼がある。闇の中でも豆電球のように光り、時折まばたきする。右足と左足の裏に一個ずつある。ベッドにあおむけに寝転がってぐっすり眠っているのだが、足の眼はぽっちり開いて、部屋の壁の姿見に映った足の裏を見つめている。

虚空

 昔、種々の物質が結合して、仮の男と仮の女が生まれた。彼等はこの束の間の現世で縁あって同じ屋根の下で暮らした。縁とは、愛の異名だった。  四十三年後の未明。仮の女は元の種々の物質に分解してこの世から絶えた。やがて仮の男も