芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

亀と白い彼岸花 その3

 きのう、金曜日の夜、この日ごろ日課になってしまったが、いつものスナックのカウンターに座った。もう五十に届いているのだろうか、新しい女性のスタッフが入っていて、ウイスキーの水割りを飲んでは、彼女と二曲、デュエットをした。

パンを忘れないで

 実はつながっているのよ。未明、あの青い光、見たでしょ。あれ、合図なのよ。あなたの中に入っていく……。あの日からずっと、あなたはあたしと一体。十年前に死んだあたしと。ふたつで、ひとつ。わかる?  花が咲いていたの。棺の中

ママ

 チリチリチリ チリリン  チリチリチリ チリトリン    部屋のあちらこちらから 音が出る  元はといえば新築だったが 二十一年経ってしまった  徐々に解体過程に入ったのか トチチリン チリチリ  

デイヴィッド・リンゼイの「憑かれた女」を読む。

 こんな長編小説を読んだ。    「憑かれた女」デイヴィッド・リンゼイ著 中村保男訳 サンリオ文庫 1981年4月5日発行    この本には、コリン・ウィルソンの「不思議な天才―デイヴィッド・リンゼイ

愛の果て

おまえ わたしに感謝して欲しい わたしはおまえを何度も殺して たまにはすき焼きにして食い尽くした けれど また この世によみがえらせた もう一度 すき焼きにするために