闇の中からカウンターが出てきた。六席のカウンターで左端に腰を下ろした彼の右隣にリカが座っている。その向こうに彼女の娘だと自称しているアーちゃんという女が彼に横顔を見せて何やらおしゃべりを続けている。声だけはするが、意味
死劇 第五番

芦屋芸術は詩・小説・文学・音楽・絵画・・・etc 同人誌の発行とWEBでの表現を応援する芸術コミュニティサイトです。
闇の中からカウンターが出てきた。六席のカウンターで左端に腰を下ろした彼の右隣にリカが座っている。その向こうに彼女の娘だと自称しているアーちゃんという女が彼に横顔を見せて何やらおしゃべりを続けている。声だけはするが、意味
会議室がお花畑になって蝶々が飛んでいる。夜なのに、天井は青空。いったい何の会議なのだろうか。 さまざまな花と蝶がいっぱい。知っているだけでもこんなにたくさん……ユリちゃん、マキちゃん、ミッキー。サユリ。リサ。ヒロミン
誰にでも妄想している時間があるのではなかろうか。そして、それぞれの個人独自の妄想と現実の裂け目の狭い道を歩いていく、あるいは走る、時に疾駆する、立ち止まる、それがそれぞれの個人独自の人生という特異な現象の外観ではなかろ
先日読んだ「一万一千本の鞭」に引き続き、同じ作家のこんな小説を読んだ。おそらく大方の日本で詩作している人には、こんないかがわしい作品は書けないだろう、またあまり読みたくもない。少なくとも私はそう思っているのだが。 &n
昨夜は友達と三人で飲んだり食べたり唄ったりして、気が付いたら、きょうの零時半ごろ帰宅していた。 日曜日は、芦屋浜の清掃作業の日。 家事のため少し遅れて、浜に着いたのは八時を過ぎてしまった。 九時まで、雑草を抜いて
もう十月も終わりに近づいているが、曇天の朝、庭掃除をしていると両腕に数カ所、蚊に刺されてしまった。 きょうは土曜日。例の如く亀の池の清掃・水替え作業の折り、夏日の時と同様、体の両サイドに蚊取り線香を置いた。今年は作業
私は過日、ある詩人から私が詩に挿絵を描いて一篇の作品にしている姿勢を批判された。詩は言葉だけで成立するのだと。私は即座に反論したが、それはさておき、おそらく日本の現在の詩の書き手の多くはそういった考え方をしているのでは
カウンターの右隣に座った女性に彼は不思議な魅力を覚えた。 今年になって彼はスナックRへしばしば足を運ぶようになった。これまで一人で飲み歩くことはほとんどなかったのだが。 リカよ、その女性はそんな名前を呟いていた。彫
黒い穴が開いていた。埋めようとしても無駄だった。もはやなすすべはなかった。 致し方ない。彼は現在の自分から過去へ、幼年時代へとイメージをさかのぼり、さまざまな場面の頁を繰り続けた。だがしかし、頭の中心の黒い穴だけは如
この世とは別の世界があるのだろうか えっちゃんに聞いてみよう あるよ 十年前に死んだ妻が言うんだから あるんだな
金曜日の夜からずっと多忙。だから土曜日恒例の亀の池の掃除が出来なくて、やっと今日、月曜日の午後一時ごろから始めた。朝夕はだいぶ涼しくなってきたが、昼間はまだ暑い。作業をしていると背中に汗が溜まって来る。 きょうはなぜ
ゆっくり動いていく。あれは何だ。 砂の液体。砂の粒が結合しないで、それぞれの独立した形を取りながら、しかし一つの固まりになって、液体状に動いている。 一つの固まり。そうは言っても、その固まりの果ては見えない。辺りは
きのうの第三回プレイフルサンドアートイン潮芦屋2024のスタッフとしての活動に引き続き、きょうも朝八時、芦屋浜へ出かけた。毎週日曜日恒例のビーチクリーン活動。 やはりきのうのイベント疲れか、少し集まりは悪かったけれど
この著者の長編小説「憑かれた女」を過日読んだが、今回は同じ著者のこんな長編小説を読んだ。 「アルクトゥールスへの旅」 デイヴィッド・リンゼイ著 中村保男・中村正明訳 サンリオSF文庫 1980年6月1日
きょうの天気予報は雨。確かに天気予報は当たっていました。 それでもたくさんの人が集まって、雨の中、子供たちが中心になって、砂でさまざまな作品を作り、楽しい午前の時間を過ごしました。高島芦屋市長の挨拶もありました。芦屋
眼前に書類が出された。何故か彼は打ちのめされた気持ちがした。一体全体何が書かれているか、強烈な光を浴びてオレンジ色ににじんでいて、解読不能だった。だが何としても解読しなければならなかった。一生をかけても。 もう五十年
「芦屋芸術二十一号」が出来ました! 内容は以下の通りです。 contents <招待作品> イメージの扉 山中従子 5 予感 他三篇
顔面に釘が刺さっていた。一本ではない。日本だ。違う。二本だ。左右の鼻孔に一本ずつ。痛くはなかった。むしろ痒かった。いや、鼻の穴が痒くて、痒み止めに釘を打ち込んだに違いなかった。 もしそうならば、彼は更に思考するのだっ
外見からすると二つの皿に盛られたパスタはどちらもペペロンチーノだった。しかし、よく聞こえなかったが、違った料理名だった。パスタに覆われて見えないが、中には特別に吟味された食材が入っているらしい。いったい何が入っているの
メールが来た。メッセージはない。ただ、少し開いた唇が描いてある。彼は右手の親指と人差指で上唇の中央を、左手の親指と人差指で下唇の中央をつまんで、上下に大きく開いた。中を覗き込んだ。息が出て来た。乳液の匂いがした。 十
昨夜は友人と三人で飲んで居酒屋からいつものスナックへ足を運んだ。私は飲みだすとほとんど何も食べない。体に悪いと言われるが、致し方ない。変更不能の好みだった。午前零時半、帰宅。 朝、七時前に起床。あれこれ家事をこなし、
見知らぬ女性が上から彼を覗き込んでいる。 「あなたは一体誰だ?」 「あたし? あたし?」 年齢は分からない、五十前後か。胸もとを震わせ、髪を振り乱し、唇を歪めて何度も「あたし?」とリフレインしている。まるで女の姿をし
この建物はいつ崩れ始めるかわからなかった。ベランダに置かれている空調の室外機なども汚泥にまみれ、機械というよりむしろ泥人形が立っている、そんな状態だった。 何故彼はこんな事務所に勤務しているのだろう。何故だ? ふとそ
嵐が頭の中を吹き荒れ 気がつくと 静かだった 月が傾いていた
もうおしゃべりなんてよそう あの鳥のさえずりに じっと耳を澄ませてごらん きっと 青空に浮かぶ雲を 帽子にして ふたりの右足は海に濡れている
血が流れていた いや もっと正確に言うと 血が混じっていた いやいや 血みどろだった というのも これからそのわけを話そうと思う 夜の話ではない 暗い 淫らな トラブルでは…… 午後零時ごろのちょっとしたイ
朝夕は秋めいてきたが、真昼はまだ夏の面影を残していた。そんな日曜日。朝八時。芦屋浜の清掃作業が今日もまた始まった。 今年の夏は例年になく暑かった。やっと焦熱地獄が去り、やや涼しく、清掃作業もかなりはかどった。けれど、
きのう、金曜日の夜、この日ごろ日課になってしまったが、いつものスナックのカウンターに座った。もう五十に届いているのだろうか、新しい女性のスタッフが入っていて、ウイスキーの水割りを飲んでは、彼女と二曲、デュエットをした。
実はつながっているのよ。未明、あの青い光、見たでしょ。あれ、合図なのよ。あなたの中に入っていく……。あの日からずっと、あなたはあたしと一体。十年前に死んだあたしと。ふたつで、ひとつ。わかる? 花が咲いていたの。棺の中
チリチリチリ チリリン チリチリチリ チリトリン 部屋のあちらこちらから 音が出る 元はといえば新築だったが 二十一年経ってしまった 徐々に解体過程に入ったのか トチチリン チリチリ
こんな長編小説を読んだ。 「憑かれた女」デイヴィッド・リンゼイ著 中村保男訳 サンリオ文庫 1981年4月5日発行 この本には、コリン・ウィルソンの「不思議な天才―デイヴィッド・リンゼイ
おまえ わたしに感謝して欲しい わたしはおまえを何度も殺して たまにはすき焼きにして食い尽くした けれど また この世によみがえらせた もう一度 すき焼きにするために