芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

音響

 メールが来た。メッセージはない。ただ、少し開いた唇が描いてある。彼は右手の親指と人差指で上唇の中央を、左手の親指と人差指で下唇の中央をつまんで、上下に大きく開いた。中を覗き込んだ。息が出て来た。乳液の匂いがした。

 十秒経ったのか、あるいはもっと、一分くらいだったのか、奥の方から童謡風の甘えたおしゃべりが出て来た。

「今度の日曜日、お食事に行かない……」