芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

ことしは、これでおしまい!

 まだ平日の午前中は事務所に出て仕事をしているし、朝食と昼食は余程のことがない限り自分で作ってわが家で食べている。夕食はほとんど近所のサイゼリア。去年と変わらない。  今年変わったことはただひとつ、初めて「芦屋芸術」を私

「セサル・バジェホ全詩集」を読む。

 過日、ホルヘ・センプルンの「ブーヘンヴァルトの日曜日」という本を読んでいると、センプルンおすすめの三人の詩人が出てきた。そのうち二人の詩人、それはルネ・シャールとパウル・ツェランだが、そして私は既にある程度まで彼らの作

赤い渦巻

ひとりぼっちだから 紙に 落書をしていた   少年時代 両親は働きに出ていたから 学校から帰ると やはりひとりぼっちで 壁に 赤いクレヨンで 渦巻のような 落書をしていた

年末、「マルクス・エンゲルス全集第十九巻」を開く。

 私は歴史に明るくないけれど、現在までに消滅した国家は多々あるだろう。何故消滅したのかは、さまざまな理由があって、それぞれ個別に具体的に研究する以外にないだろうし、その個別研究の集成の中で、国家消滅の原因の一般性と特異性

レーニンの「国家と革命」

 近未来の物語、といってそれが今世紀のことか二十二世紀のことなのか、はたまた二十三世紀にやって来るのかわからないが、この物語の主題は「国家の死滅」だった。  まずこの本は過去の歴史を大局的にこう表現している。―従来の歴史

わが最後のパートナー、亀さん物語

 わが最愛のパートナー、えっちゃんは六年前の七月十九日に、愛犬ジャックは四年前の十月二十五日に、愛猫アニーは先月のえっちゃんの月命日、十九日に永眠しました。そして、わが最後のパートナー、亀さんは、けさ冬眠しました。  も

カアカアかえらず

仲間からいじめられ 右の羽を傷めて 障害をかかえた体で 七月十九日 えっちゃんの七回忌 君は我が家の庭先に来た 毎日 私の用意したごはんを食べ 多い日には四回も足を運んでくれた だが 日数を経るにつれ 仲間が君を襲撃した

さとう三千魚の「山崎方代に捧げる歌」

 不思議な構成を採用した詩集だった。歌人山崎方代の三十一首の短歌に著者がそれぞれ一篇の返歌ならぬ返詩を付けて、合計三十一篇の返詩で言葉の奥行きを深め、その舞台を拡げ、おりふしの出来事から身近な人の死までを表現した。 &n

「リヴィエール173号」を読んだ。

 十八人の詩人たちがそれぞれの思いを込めて、言葉でかたちにしていた。    「リヴィエール173号」 発行所 横田英子 2020年11月15日発行    まず巻頭に現れた川本多紀夫の「疫癘(えきれい)

レーニンの「帝国主義論」

 第一次世界大戦の最中、一九一六年春、著者が亡命中のスイスのチューリッヒでこの本は書かれた。その当時交戦中の先進資本主義国、すなわち、イギリス、フランス、アメリカ、日本、これらの国々と交戦するドイツ、この五大国は「資本主

今村欣史の「完本コーヒーカップの耳」

 確かに文章はいったいどこから出てくるのかわからない。頭から出てくる、そう言ってしまえばそうに違いないのだけれど、この本の文章は阪神沿線西宮駅近辺のとある喫茶店から出てきた。    「完本コーヒーカップの耳」