芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

山口勇子の「荒れ地野ばら」

 この物語は、広島市にある清栄女学院で同じクラスになったふたりの女性、野田槇子と堀井芙由、彼女らはふたごと間違えられるくらい似かよっているのだが、このふたりが、一九三五年から一九四五年の十年間、いったいどのような世の中を

芦屋浜・夜

 このところ雨や曇った日が続いていたが、きょうは昼間晴れていたので、待ちかねて、夜の八時半頃、ボクは芦屋浜へ出た。我が家の周辺は街灯で明るく、暗い浜辺で空を見上げるのが、綺麗だ。  満月と木星が近づいて愛を語り、その右側

松谷みよ子の「ふたりのイーダ」

 歩きながらおしゃべりする椅子が主人公である。この主人公に、小学校四年生の直樹と二歳十一ヶ月の妹のゆう子、それからおそらく二十五歳前後のりつ子、この三人がからみあって物語が展開する。    「ふたりのイーダ」 

井上光晴の「地の群れ」

 ワイフを喪ってからおおよそ五年間、ボクはテレビをまったく見ていない。もともとボクはテレビッ子ではなかった。ワイフが存命中の時でもせいぜいニュースを少し見る程度。そのうえ、今はネットがあるので見たいニュースだけクリックす

永井隆の「この子を残して」

 この書は、長崎の原子爆弾で妻を失い、自らも被爆して余命いくばくもない父が、疎開させていて被爆しなかった二人の子供の戦災孤児としての行く末を危ぶみ、筆をとったものである。将来、子供たちが成長した時、父の真実の思いを知って

新詩集「詩篇 えっちゃん」を出版します‼

 ボクのワイフ、えっちゃんが永眠して、この七月十九日で五年になります。  彼女が亡くなって、なんとかボクは「芦屋芸術」のホームページは維持してきましたが、もう四年間、一冊の本も出せず、「芦屋芸術」も八号止まり。  だが、

永井隆の「ロザリオの鎖」

 一九四五年八月九日の長崎に投下された原爆で、自宅にいた妻を失い、著者自身も長崎医科大学の自室で学生の外来患者診察の指導のためのレントゲンフィルムを選別していた時に被災、傷病をかかえたまま救援活動に徹した記録は著者の書い