芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

松谷みよ子の「ふたりのイーダ」

 歩きながらおしゃべりする椅子が主人公である。この主人公に、小学校四年生の直樹と二歳十一ヶ月の妹のゆう子、それからおそらく二十五歳前後のりつ子、この三人がからみあって物語が展開する。

 

 「ふたりのイーダ」 松谷みよ子作 講談社青い鳥文庫 2019年2月19日第40刷

   (この作品は講談社から1969年に出版、その後文庫化されたもの)

 

 少年少女向けの幻想小説風の作品だが、巧妙な構成と語り口で、最終章を読みながら、老若男女を問わず、広島の原爆の出来事に涙を覚えるだろう。