芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

ただひとりの読者を失う

  きょうはふたつの作品を読んだ。     リジイア(ポオ小説全集Ⅰ、阿部知二訳、東京創元社)   ヴェラ(リラダン全集Ⅰ、齋藤磯雄訳、東京創元社)    両作とも愛しあったままこの世を去った妻が、後

大坪砂男を読む

 最近、本を読む時間が少なくなってきている。やはり去年ワイフが亡くなったため、日常生活の雑用が増え、そのうえ、二年余り前から五十年ぶりに弾き始めたギター、おおよそ一日三時間前後の練習、もちろん午前中は事務所で仕事に追われ

蘇生

 昨夜、なまなましい夢を見た、昨夜と言っても、きょうの午前2時から3時頃のこと。  最初、それはなんだかゴタゴタしていて混沌した、灰色の激しいうねりのようなもの、今ではそんな記憶だけが残っている。  その灰色のうねりを破