芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

「芦屋芸術」の新しいホームページが出来ました!

 「芦屋芸術」の新しいホームページが出来ました。アドレスをお伝えします。  http://ashiya-art.main.jp/   きのうはボクの誕生日で、長男がプレゼントで作ってくれました。ぜひ、アクセスしてください

一か月間、毎日一篇の詩を書き、その挿絵も描き続けた!

 先月「芦屋芸術」から出版した「フォト詩集 親水公園にて」は、私がブログに発表した作品をまとめたもので、今年の七月二十四日から十月一日まで、四十五篇の言葉と親水公園周辺の写真で構成されている。殊に九月に入ってからはほぼ連

狂人詩篇

A 会議室は 明かりが消えていたので 頭の上から懐中電灯を照らし 順次 めくっていると 頭骨もはずれて 激論の末 灰皿が飛んでいた     B 鼻を どっさり積み込んで 血みどろになった自動車がよろめ

小箱ノ中ノ暗闇デ

縦5cm 横2cm 高サ3cm ソンナ小箱ノ中ノ暗闇デ 僕等ハ黄色イ棒飴ミタイニ横タワリ 毎日 蓋ヲ見アゲテイル 身悶エシテ……   ……イツモ 身悶エシテ…… ソウダ コンナ小箱ノ中ノ暗闇デ 僕等ハタガイニ一

東京

 私は東京を歩いていた。東京、しかしこの言葉はあまりにも広大な地域を指示しているので、いったいどのあたりだったか、それを明らかにしなければ無責任のそしりを免れまい。確かにそうではあるが、田舎者の私には不明だ、そう言い訳す

詩誌「鳥」第79号を読む。

 榎本三知子さんから送っていただいた詩誌を読んだ。    詩誌「鳥」第79号 編集者 佐倉義信/なす・こういち/元原孝司 2020年10月31日発行    この詩誌は十二名の作家の詩作品十五篇、エッセ

研究室便り

 われわれは不純物を排除し、極めて純化された環境で実験を繰り返した。その結果、必ず一定の状態が再現するのを確認した。これによって、われわれはかく結論するのをもはや躊躇すまい。すなわち、この婦人患者の頸部はゴム状物質である

野間明子の「蒙昧集」を読む。

 ひょっとしたら夢は暗号なのかもしれない。そして、その解読が終わる頃、この世を去っているのかもしれない。言ってみれば、この本は、解読できそうでいて、できない夢、おそらく著者だけが死の瞬間、脳裏にすべての夢が帰郷して、すべ

ゆさり

五月の草原をゆくと ふくらはぎに 草がはえてくる そよそよ そよそよ ふとももにも草がはえて そよめいている やがて腰まわりから 顔のあたりまで すっかりおいしげってきた草を むしりつつ むしりつつ 青空へまき散らしては

長老

河のほとりに立ち 長老が 杖にて河面を打てば 水中から おおぜいの土左衛門が 這いずり出した     ◆   河原にて 長老は天幕を張り 幾千の歳月を数え 幾万の土の器を造った 汝生きよ 天に向かって

彼女

 私は妻の病状を危ぶんでいた。  体のどこかが具合が悪い、そんな症状ではなかった。精密検査をしてもどこにも異常はなかった。ただ、日を重ねるにつれ、妻の発言がトテモ正常とは言えない、ほとんど怪奇な状態が続くのだった。……最

半世紀近い昔の話

 今となっては、夢か現実だったか、わからなくなってしまった。それはともかく、私が二十代後半、新橋の神谷町に住んでいた頃、ある一夜の物語である。  どこで飲んでいたのかはもう記憶にない。ずいぶん酔っぱらっていたことだけは確

成就

 あなたは岸辺にしゃがんで水の面を見つめていた。水紋が午後の陽射しに反射して、あなたの顔には縞模様の影が揺らいでいた。どうしていいかわからずに、わたくしは黙ってそばに立ったまま、ただ池とそれを取り囲む樹林を前にして一行の

詩誌「鳥」第78号を読む。

 きょうも榎本三知子さんから送っていただいたこの詩誌を読んだ。    詩誌「鳥」第78号 編集者 佐倉義信/なす・こういち/元原孝司 2020年6月15日発行    これで76号から三号にわたって毎日

銀粉になって

城の夢を残したまま 宮廷住まいの鳥たちは死んでゆく   わたくしのふくらはぎには あなたのくちびるのかたちがいつまでも   でも 悔恨なんてしていない たったひとつの死があるだけだから  

詩誌「鳥」第77号を読む。

 きのうと同じく榎本三知子さんから送られてきたこの詩誌を読んだ。    詩誌「鳥」第77号 編集者 佐倉義信/なす・こういち/元原孝司 2019年12月1日    一通り読んで気付いたことは、同人に八

足首

うすらいでゆく花園。 この後頭部は、もうすっかりうすらいでゆく花園。 ぼんやり暗くなってしまった。 とうとう頭に夜が来たのか。   後頭部の花園にローソクをともすと、 火は火を招いて、 花びらへめらめら移りゆき

詩誌「鳥」76号を読む。

 榎本三知子さんから詩誌が送られてきた。彼女とはずいぶん昔、「土星群」という同人誌でご一緒した。私にとって詩作を通じて出会った懐かしい人の一人だった。    詩誌「鳥」76号 編集者 佐倉義信/なす・こういち/

貴公子の一夜

   四月の貴公子がかぼちゃ造りの馬車に乗ると、ナノハナの編上靴を履いたフォークとナイフの馭者たちはツツジの鞭を振りかざし、数えきれないモンシロチョウは馬車をヒラヒラ引きずりながら、春の向こうへ、季節の彼方へ。

夢をさわる指

夢を見ているところを のぞかれていた やがて 頭の南の方角から 一本の指が出てきて 耳の穴を突きとおし つんつん 夢をさわっていた   しばらく つんつん していた  

迷子の亀がやってきた!

 けさ七時ごろから池の掃除を始めた。だいぶ水が冷たくなっている。これからは日に日に冷たくなっていくのだろう。  この日曜日の夕方、ご近所のご夫婦がワンちゃんと散歩している際、道路を歩いている亀を見つけた。顔を合わせばよく

たきぎ

午後三時 この団体は 各自一頭の羊を曳き やぐらの下に結集した やぐらの先端は 雲に隠れている 各自一頭の羊を背負い 天に向かって 順次 梯子をのぼると すっかりたそがれ 夕焼け雲の中に彼等は消えた 深夜になって 闇の空

一九五〇年代のボクの思い出から

           ―見世物小屋にて   「世紀の謎、世界の不可思議……」 狭苦しい小屋の片隅で 香具師は前口上をまくしたてている 彼の隣に立っているのが所謂「世紀の謎」 見れば「世紀の謎」の左腕は いちめん

なおも立ち尽くす

天上の月と 池に光った月の間に 案山子は立ち尽くす   刈り入れは終わり 激しかったあの夏草の命も絶えて   天の月と 地の月の間 落ち葉と 枯れ草の間   なおも案山子は立ち尽くす

満月の方角

 鴉の仮面をつけた忍者が、 満月を浴びて黒光りしている屋根瓦の上を滑っていく。その後ろから白装束の天狗が、水に濡らした白足袋をはいてひたひた迫ってくる。一瞬、忍者の顔はクルリと背面へ百八十度ねじれた。天狗に向き合った鴉の

あやめとはまぐり

 その一 あやめ   はるさめにじっとりした帯をとき あやめの一夜がはじまりました 五月闇に沈んだ池のほとりから   あがりかまちまで あやめはわらじをはいて 引きずって 宿のぼんぼりに浮かんだ濃い紅

左目ハ右目デハナイカ

鍵穴ハ 誰モガソウ信ジテルヨウニ 外部カラ内部ヲ開閉スルタメノ マタ 内部カラ外部ヲ開閉スルタメノ 扉ノ付属物デハナイ ムシロ現代ノ研究デハ 外部カラ内部ヲ観察スルタメノ ソレトモ 内部カラ外部ヲ観察スルタメノ 唯一ノ窓

腹の中

腹の中には やかんがある   腹が立つと 水は煮えたぎって狂う   腹が座ると 水は冷め 底の方からひえびえしてくる   腹が減ると 水の表面が騒がしくて とても眠れやしない  

野原に一本の黒くて長い柱が立っていた ちょうど画用紙のまんなかを 上から下まで太い墨の線を引いたみたいに 空といちめんの草が生い茂る風景を二分していた わたくしは昔からそんな草むらで暮らしている 草の実を食べたり 昆虫を

キョウモ池ヲ引キズリナガラ

稲光デ 頭ガ裂ケタ ソコニ雨ガ溜マッタ 耳カラ 鼻カラ 口カラ アラユル穴カラ雨水ガ溢レタ 溢レテ足ヲ濡ラシタ タチマチ足下ハ池ニナッタ 万物ハ水デアルカ 雨ガアガッテ 天ハ晴レテモ 夜明ケカラ 日暮レマデ 私ハ池ヲ引キ

Jの湿気

 確かに声は床から聞こえてきた。……  この物体の前面上部には横長の楕円形になった穴が開いていて、そのまわりにクチビル状の人造肉が取り付けられている。音声を発する際、物体内部から穴を通って外部世界に湿った気体が送られるら

わびとさびの世界

 このしわが、  名人芸というものです。   住職は畳の上に白布をひろげ、五六人の参会者の前で、もう数十年来使い古された湯呑茶碗を置いた。正座していた彼等はすり寄り、身を乗り出して、嘆息を漏らした。誰か合図した

「フォト詩集 親水公園にてー夏から秋へ」が出来ました!

新しい詩集が出来ました。    「フォト詩集 親水公園にてー夏から秋へ」 山下徹著 出版芦屋芸術 発行日2022年11月19日 定価千円   表紙絵は山下哲胤、扉の水墨画は清位裕美が描いています。 今

法則と絶望

 突然フィルムが逆転したのか、床に粉みじんになって散らばっていたガラスの破片が、落下した時とは逆コースをたどって宙に浮かび、テーブルの上でもとのコップに復元されていた。  ここで吉月君の制作した科学映画「反熱力学第二法則

夢と粉末

 氷の地区はやはり実在していた。  この実在について私はもうこれ以上あなたがたと議論はすまい。確かに彼等は粉末を常用している。その結果、彼等の体温は著しい低下をまねき、既に氷点下に達している。事実、外気と触れ合った彼等の

修行

箸を置いて 茶碗を見つめている    お願いいたします   深夜の道場で 膳をはさんで対座したまま やおら オコゲのついた飯粒を箸でつまみ ためつすがめつ眺めて かく語った    先生 まぐ

亀、私に寄りそう。

 冬眠が近づいてきた。もう一か月余りすれば、来年の春まで亀は眠りにつく。  朝七時過ぎから池の掃除をしたが、その間、庭を徘徊している亀の動きもかなり鈍くなっている。しゃがみこんで池を掃除している私の周辺をゆっくりお散歩。

足の夢

ウォークインクローゼットの片隅に 脱ぎ捨てられたまま 八年間 パンプスの中敷きには まだ 足裏の形が    久シブリネ   足をください  ねえ その足をください   その足を もう一度…… &nbs

香木を握りしめる男

                           終日 死のうと思いつめたら                            茶碗まで生物に見えてくる     雨夜がある 香木を握りしめる男

今夜モ舌打チシナガラ

夜ノ唇ハ呼吸ヲ激シクシテ 泥色ノ霧ヲ噴キ出シテイル 見レバ 泥霧ガ流レル門前カラ路地ニ 青空ノ足跡ヲ残シタママ   ソウダ モウスッカリ冷メテシマッタ 七十三年間浴ビ続ケタ真昼ノ光線ノ ワズカ二三本ヲ懐ニ忍バセ

クスグッタカッタ

寝床カラ起キアガルト 背中ニビッシリ牡蠣殻ガコビリツイテイル ソレハ腐ッタ船底ダッタ   ダガ決シテ幽霊船デハナカッタ 何故ナラ 七十三年ノ歳月ガ   キャビンデスープヲ啜ッテイル間ニ 過ギ去ッテイタ

たそがれと夜のくちびる

メガホンに押しあてた くちびるが たそがれているなら この小さな円錐形を 夕空の涯まで拡大した 見えないメガホンの世界は もうすぐ夜だといえるだろう   無限大の夜の中で くちびるは ひとりぼっちだった

宴会

純粋な 暗黒だけが 来た 岸の向こうから   だから いま 光っているものは すべてはがれ落ちて 闇のからだになった 光が泣いていた   骸骨が宴会をしていた 無数の骨が浮かんでいた 走っていた どん

芦屋市に、ドッグランを!

 友人の市会議員から相談があり、芦屋にドッグランを作ろう、動物と共生する地域にしよう、そういう話だった。  もう亡くなって六年たってしまったが、かつて私はジャックという黒いラブラドールレトリバーを飼っていて、たくさん散歩

再契約

 京都の町だった。二条城近辺だったのは、確かなことだった。  十代までは京都のあちらこちらを観光した記憶がある。しかし社会人となってあくせくし始めてからこのかた、観光ではなく、時折ビジネスで私は京都を訪れていた。  もう

住宅街

 甲子園浜の西方に今津港があるが、どうやら私はその界隈を歩いているようだった。小さな港の東側には中規模の公団住宅があり、以前私はここを住まいにしていた。最初、十一階建ての最上階、数年後もう少し広い部屋が空いたので八階に移

ほんの四十分くらいの間に 七十三年の時間が あふれかえり 波だち ざあと消えていた   午前二時十八分 生きているって ふしぎ だった  

亀、アメジストセージとサルビア・アズレアの下を歩く。

   朝七時過ぎから池の掃除を始めた。空は晴れているが、少し肌寒いくらい。池から亀を出して私の右足のそばに置いたが、彼は余り動こうとしない。ようやく動き出しても、三十センチくらい離れただけで、円弧を描いて私の足

「続・最後の場所」11号を読む。

 松岡祥男さんからこんな雑誌が送られてきた。    「続・最後の場所」11号 発行人 菅原則生 2022年7月20日    すべてが力作で、直接読んでいただいて、それぞれ自分で考える、そんな作品集だろ

「座」73号を読む。

 津田文子さんから送っていただいた詩誌を読んだ。    「座」第73号 発行 座の会 2022年10月1日発行    六人の同人の作品十篇が発表されている。それぞれ詩歴の古い方が書いているのだろう、し