「芦屋芸術」の新しいホームページが出来ました。アドレスをお伝えします。 http://ashiya-art.main.jp/ きのうはボクの誕生日で、長男がプレゼントで作ってくれました。ぜひ、アクセスしてください
未明の天井

あっというまに 消えることもある そうだよ わかるだろ わたしは あなたのことを 言っているのだよ そうじゃないか あなたが 膵臓がんで 一瞬にして消えるなんて もし 消えていなければ この十一年間 まった
詩誌「石の森」第202号を読む。

金堀則夫さんからこんな詩誌が送られてきた。 詩誌「石の森」第202号 編集/西岡彩乃 発行/美濃千鶴 2025年1月10日 この詩誌は、五人の詩人の五篇の詩、書評一篇、そして<石の声>の
詩誌「リヴィエール」199を読む。

永井ますみさんから詩誌を送っていただいた。 「リヴィエール」199 発行所/正岡洋夫 2025年3月15日発行 本誌は十五人の詩人が十七篇の詩を発表している。また、このうち七人の詩人がそ
内向する滝に打たれて

今夜も 頭頂から 腹底に向かって 滝が 落ちてくる 喉元まで しぶきをあげながら 全身 藍色の水滴 滝つぼに 溺れて 午前二時 降りそそぐ 音が 意味不明の 無数の細粒が
詩誌「現代詩神戸」288号を読む。

永井ますみさんから詩誌が送られてきた。 「現代詩神戸」288号 編集/今猿人・神仙寺妙・永井ますみ 2025年3月10日発行 この詩誌には、二十人の詩人の詩作品二十五篇、一篇のエッセイが
もうひとつの物語

浮かぶものは 雲だけではなかった 靴下が 浮かんでいた
詩誌「折々の」No.64を読む。

津田文子さんからこんな詩誌が送られてきた。 「折々の」 発行/「折々の」の会 編集者/篠原麻由美・瀬尾薫・伊達悦子・万亀佳子 2025年3月1日発行 この詩誌は、十人の詩人の作品十一篇、
それは

それじゃあ これってなんだ あなたは 右の手のひらを開いて 見せてくれた 確かに それは動いていた 手首から 右肩に向かって だけど 突然 背後に回り うなじを破って 首を突き抜け 喉もとから ぐじゃりん プシュー 緑汁
今夜は オンザロックで

だから言ったじゃない あんなこと もう忘れちまいな いやなことは いやなままで そっと あたたかく 見つめて でも いっしょに遊んだ時は 楽しかったね そんな別れの挨拶を 投げかけて 今夜は オンザロックで
季刊詩誌「ぽとり」77号を読む。

武西良和さんから個人詩誌が送られてきた。 季刊詩誌「ぽとり」77号(春号) 編集発行人/武西良和 発行所/きのかわ文芸社 2025年3月1日発行 詩作品二篇と、論文二篇。裏と表を原音にし
きょう、亀は冬眠から目覚めました。三十六歳です!

三月だというのに、この間、寒い日が続いていた。でも、きょうから、やっと、暖かくなりそう。 実行するのに、この日ごろの天候でためらいがちになっていた。けれど、きょう、午前十時半、暖かくなった、ヨシ、決行しよう! バケ
詩誌「座」第80号を読む。

津田文子さんから送っていただいた詩誌を読んだ。 「座」第80号 発行/座の会 2025年2月1日発行 七人の詩人が十一篇の詩を発表している。津田さんの手紙によれば、もう三十年近く発行して
<セリ・ポエティク>Ⅴ「トリスタン・ツァラ」を読む。

私は二十歳の時に読んだ本を、今、読み終えた。なんでまた、こんな本を、もう一度。 <セリ・ポエティク>Ⅴ「トリスタン・ツァラ」 編者/ルネ・ラコート 訳者/浜田明 思潮社 1969年7月1日発行 &nbs
ふわふわした感じで 毎日

いいね いい 気持ち 毎日 こうであって 欲しい ふわふわ して欲しい でもね ふわふわ してるって そわそわ してるんじゃあないよ ちょっとした違いだけど ずいぶん違うんだよ ふ と そ だ
違うかしら

瞳は もっと 激しいもので いいと思う なぜって 恋は 見つめあうことから 始まるって そんな話 昔 聞いたわ これって どう 嘘なの どうしてなの 教えて あなた どうして そんなふうに うつむいて ふしめがちに わか
つけたし

ことばは からだに ならない あたりまえじゃないか そうか それでは 逆も真なり からだは ことばに ならないんだ それじゃあ おまえさん あんたは ことばと からだと どっちが好きかえ 決まってらあ からだ とりわけ
そんな夜

喜ぶつもりで 絶望していた どうして そうなのか わからなかった カウンターに置かれた ロックの氷が 溶けていた そんなの 水に流せば いいじゃん 彼の頭が つぶやいていた そんな夜も あった
最後の火

最近 また タバコを吸い始めた とても おいしい 二十年位前まで 一日 五十本 吸っていた ある日 ぷつん と火が消えた タバコの それ以来 吸いたい気持ちは 二度と 帰らなかった けれど であった スナックのカウンタ
酒に沈む

溺れていた 確かに 溺れていたけれど まったく 気づきもしなかった また 気づこうとさえしなかった 足を踏みはずし 崖から 近所の公園の池に 沈んでいた 音もなく
消えた迷路

最近、余り近づく機会がなかった。いや、そうじゃない。それよりも、もっと正確に表現するならば、あれはめっきり現れなくなった、そんな表現が相応しいのだろう。 いつも扉が閉まったままの文房具店。彼が覚えている限りでも、もう
ひとつの 別れ

夜の芦屋 小さな繁華街 午前零時過ぎ スナックからの帰り道 ある右手のひらが 彼の右肩に そっと おかれ いつしか 握りしめ でも 振り返らなかった 振り返らず その右手のひらを 背中の方に残し 黙って 歩き続けた 彼
朝日が沈む男

頭が陥没しているのだろうか
不思議なカラダ

にわかには信じがたいことだが、人間の体から波動のようなものが流れ出ているのだろうか。 彼女と出会ったのは時折訪れるスナックだった。五十代の女性。なぜか意気投合してその後、芦屋の小さな繁華街を食事、というより飲み歩いた
リード

愛犬ジャックと散歩の途中 あなたは ちょっと スーパー寄っていい したい買い物があるの 出入り口のガラス扉から 客の邪魔にならないように 十メートルくらい離れて 五分だろうか 十分だろうか わたしは待ってい
<セリ・ポエティク>Ⅳ「アルフレッド・ジャリ」を読む。

いま、日本で「現代」詩を書いている人で、この詩人を一度読んでみよう、あるいは、読んで面白かった、あるいはまた、ちっとも面白くなかった、そんな時間を費やした人がたくさんいるのだろうか。どうだろうか。 <セ
新メニュー 作品料理

壊れたらどうしよう、確かにそんな不安はあった。 サツマイモを薄切りにして、その上に作品を書いている。何度もインク瓶にペン先を浸して、何枚もの薄切りを積み重ねながら、それぞれのその上に、作品を書き続けている。こうした制
悲哀

風のいたずらだろうか。思わぬところまで飛んでくるものがある。毎朝、庭掃除をするのだが、けさは常ならず異様な感慨を彼は抱いた。 確かに今まで、さまざまなものが飛んでくるのだった。冬になれば、家の裏の街路樹からわざわざ枯
いまでも

ちらちら しているって いったい なんだろう スカートだろうか それとも イヤリング? まぶた かも ひとみ かも それとも くちびるのかたすみ 首すじ まゆ毛 ワンピースのライン くつした
たそがれが来た

それがどうしたというのだろう。 いったい、どうした? だって、ここまでしゃべりつづけて、ふいに彼は沈黙に落ちた。 何か言いたかった。けれど、伝えたいことはもう何もなかった。 つまり これ以上 何も言うことは
つきあってください もっと

そんなこと わかっているけど わからなく なってしまう そんなときも ありました でも だから
川の名は?

悪口が いっぱい 流れていた 悪多川 流飲助 *彼に面と向かって罵られた悪口ではなかった。彼のあずかり知らないところで、ひそかに、さまざまな人に言いふらした悪口だった。そのさまざ
北枕の話

こんな噂を耳にした。 別に読者にこれは真実だ、そう信じていただきたいためにこんな文章を、わざわざ夜更けに勉強机に蛍光灯をつけて、書いているわけではない。そうじゃなくて、ある女性、彼にとって現在のところただ一人の大切な
庭石を置く話

庭石を置く話になってしまった。 もともとの話の入口は、決してそんな出会いではなく、もっと親密な関係になっていく、いや、もっとあなたと親密なお付き合いがしたいって、唇を笑みで飾り、伏し目がちに、彼の足元へそっと呟きを落
アルフレッド・ジャリの「馬的思考」を読む。

こんな本を読んだ。 「馬的思考」 アルフレッド・ジャリ著 伊東守男訳 サンリオ文庫 1979年4月5日発行 遅々と進まぬ読書体験だった。読了するのにかなりの日数がかかってしまった。昔買っ
浮かぶ まつげ

左耳にくちびるを近づけて何やらしゃべっている。何をしゃべっているのかわからないが、吐息が耳たぶをつつんでいる。時折、くすぐったくなる。だから、こんな場合、吐息がしゃべっている、こう表現すれば真実めいてくるのだろうか。ど
汚名返上

これは序文だと言われた。よく見ると、彼の左手の中指と薬指の間から一本、細い管が突き出している。これだ、これが序文だ。 おまえが昨夜書いた本文、「いわれなき汚名」、あの短編作品の序文が、お前の体内で悲鳴を上げて、ごらん
会いたい

未明 ベッドに寝転んで 天井を見あげながら つぶやいていた <会いたい> でも いったい わからなかった 誰に <会いたい> ただ 言葉だけ <会いたい> 浮かんでいた 天井に 何度も
高貴なるもの

原子力関連施設の一室で彼女と落ち合った。テーブルをはさんで、対面して。 核の重要性について、それを研究・保管する施設の必要性について、彼女は語り続けていた。……将来、人類の存亡をかけた戦い、絶滅か、それとも人類の最終
なんでもないのよ

じっと 見つめあっていた なんでもないのよ 彼女は目を落した
石になる話

白くなっていた。これからだと思った。これから開いていくのだ。 ただ恐ろしいことに、開いたままだったけれど。 三年後。開かれた地平に向かって、白砂が流れていた。眺め渡したがわからなかった。
すべては動いている

机が、テーブルが歩きだした。 夜中に目覚めると、寝室にダイニングテーブルが置いてある。驚きあわててダイニングルームに駆け込むや、中央に勉強机。長年、寝室で使い古した奴が。 元通りに入れ替えるのは彼ひとりの力に余る。
「芦屋芸術二十二号」が出来ました!

「芦屋芸術二十二号」が出来ました。今年初めての出版です。内容は以下の通りです。 contents <招待作品> 海辺の誘惑 鍋谷末久美 5 蜉蝣(か
岡本かの子の「老妓抄」を読む。

本棚の片隅から一冊の文庫本を探し出した。ある事情で、とても読みたくなった。その本は、これだ。 「老妓抄」 岡本かの子著 新潮文庫 平成20年8月5日58刷 この本には九編の短編小説が収録
闇活動

未明になると いつも 彼は 解体していく とろけ ねば ねば ねば ずる 胴体は 紅色と緑色の混色ゼリー くずれ 首から上 両手 両足 はずれ ずるずるして ずるりん ぴくぴくし
それでいいじゃん

なにもかも なつかしくなってきた この世で出会ったこと すべて なつかしいなんて あの時の その時の この時の あんなにイヤだって シリゴミしたことだって いまじゃア いっしゅん シーン と した &nbs
芦屋ビーチクリーン その64

二週連続で休んでしまった。日曜日の朝、芦屋浜を訪れなかった。理由は簡単。シンプル。つまり、夜遊び。飲んで、酔って、場合によっては帰宅したら午前二時をゆうに過ぎていた。ただ、この歳になって、深夜、飲み屋を徘徊できるなんて
二月の半ばに

ビリビリになってしまった 過去が 一枚の紙の上に縮小され それを 彼女の両手の親指と人差指が つまみ ひねり 破り 捨てた まだ 生きてはいるが いま 彼は もう 彼ではなかった 一枚の 新しい 紙きれが
ものの哀れ

彼は刀なんて持ったこともないし、まして使った記憶なんてさらさらなかった。なのに、刃渡り一メートルくらいの日本刀らしき鍔のない、物珍しい鞘に納められた刀を携えているのが分かった。鞘はやけに華やかな絵柄、深い緑色の渦巻きの
浮かんでいる

彼の 眼前に 今でも 残された 彼女は 指 だけ とりわけ 左手の 人差指と 親指 二本 手首は なかった
誰も いない

夜を見ながら 生きて来た 夜を見ながら ペンを走らせるって トテモ ステキ じゃないか 夜の中で 夜を白紙に写し まき散らされた 星の上で からだは 崩れていく ごらん もう この世に 誰も いない