あなたとの 愛が消えて 骨壺だけが 残った
骨壺だけが

芦屋芸術は詩・小説・文学・音楽・絵画・・・etc 同人誌の発行とWEBでの表現を応援する芸術コミュニティサイトです。
あなたとの 愛が消えて 骨壺だけが 残った
九年前に死んだ あなたの骨壺を前にして ダイニングテーブルの椅子に座って 今夜は ながいあいだ 考えていた なんのことはない 疲れただけだった いや 疲れるために 考えこんでいたのだろう とにかく もう 生きることにも
私は自分で個人誌「芦屋芸術」を運営しているのでこの著者が個人詩誌の発行を持続しているのに敬意を表している。 後藤光治個人詩誌「アビラ」15号 編集発行 後藤光治 2023年9月1日発行
きょうは、「第14回潮芦屋アクアスロン大会」が開催されているため、芦屋浜で大会参加者の水泳競技が行われる。ランとスイムのミニトライアスロン。よって、芦屋ビーチクラブの活動は大会が使用している場所を避けて浜の東側を清掃し
九月二日 あなたの 誕生日の夜は ひとりで 酒を飲みます ダイニングの椅子に座って 九年間 東窓の飾り棚に置かれたあなたの骨壺に 楽しかったね 語りかけながら
一週間ぶりに、けさ八時ごろ、亀の池の掃除を始めた。四十分くらいかけてそれが終了すると、庭ではなく、我が家の前の路上で亀と遊んだ。夢中になって彼の写真を撮っていると、背後からご近所の奥さんの声がした。 「大きな亀ですね」
この界隈に怪物が二匹住んでいるという噂を耳にした。わざわざ「界隈」という言葉を使ってみたが、なんのことはない、我が家の近所の公園にもたまには出没するらしい。 私はこの噂には懐疑的な立場だった。実際にこの眼で目撃もしな
花は消えていた すっかり 九年たって わたしはそれに気づいた ただ 花びらだけは少し残っていた この涙に
きょうも朝、芦屋浜へ出た。まだまだ暑いのは暑いが、時折やって来るそよ風にもう秋の気配を覚える。 八時二分ごろ、浜に着いた。既にみんな作業をしている。台風七号の漂着物が残っていて、おそらくきょうでそのゴミは除去できるの
朝、庭掃除が終わり、花壇と鉢に水やりをした。八時を少し過ぎてしまった。ただ、今日は土曜日なので仕事はお休み。ちょうど一週間ぶりに亀の池の掃除を始めた。 やはり、まだ暑い。どんどん汗が流れてくる。額からもポタポタしてく
女友達にすすめられて買ったゴキブリ専用の殺虫剤は確かに強力だった。何カ所か出そうなところに置いておくだけ。直径四センチくらいの白い円盤形の代物。彼女は、夏の間、生きているのは一匹も見かけなくなる、そう断言した。 まだ
この詩集は、母とその娘が愛しあったまま死別した娘の思いを出来る限りそのまま語り出した、余分な飾りを落とした純化された言葉だった。 「森のフクロウーかあさんへ」 津田真理子著 澪標 2021年8月20日発
透明だった ガラスになって 砕け散っていた
新聞でもネットでもマスコミは一切報道しなかったが、地震があったのはもう隠しようもなかった。 二階にあがってみると、狭い廊下を挟んで、南側の部屋には異常はなかった。だが北側は違った。部屋全体が明らかに北に向かってずいぶ
夕方雨が降る予想なので、午後五時ごろ家を出た。芦屋浜へ向かった。きょうは昼間、芦屋で二ヶ月に一回開かれている詩の会に出席したので、朝の八時から九時まで活動している芦屋浜ビーチクラブには参加出来なかった。だから、どうして
チラチラしている 過去に出会った さまざまな女の断片が 鼻 口唇 目元から上だけの頭 チラチラして 人差指 ふくらはぎ 汗ばんだ襟首 少し汚れた足の裏 震える耳たぶ こうして わたしたちはさまざまな世界に住
昨夜、友達とJR芦屋付近の飲み屋を梯子した。帰宅したのは十一時。パソコンのメールを見て、ベッドに横たわった。 寝坊してしまった。もう五時を回っていた。いつものように長男と私の朝ご飯を作る。ダイニングの東窓の棚に置かれ
夕方、また芦屋浜から総合公園を歩いた。西陽が強く射していた。昼間よりおおぜいの人が浜で遊んでいる。十代、二十代の若い人が多い。私のような年配の人は見かけなかった。夕方といってもまだとても暑く、外出は控えているのだろう。
きょうのお昼、十二時過ぎに芦屋浜へ出た。きのうの台風で海は濁り、浜辺に流木などが流れついていた。しかし、さほどの高潮ではなかったのだろう、大きな流木は見あたらなかった。 八月十六日の真昼時 芦屋浜は
台風七号の去った朝、落ち葉だらけの庭掃除は一仕事だった。九年前まではワイフとふたりでおしゃべりしながらやっていたので、お遊び程度の作業だった。今は違う。箒で落ち葉を掃きながら、腰がかったるくなると、まるで苦行僧のまなざ
きのう、潮岬に上陸した台風七号は私の住んでいる芦屋よりも西、大阪湾を北西に移動して昼過ぎに明石に再上陸した。足の遅い台風だった。時速十五キロの自転車くらいの速度でそのままゆっくり日本海へ向かって北上、兵庫県を縦断。その
何を言っているのか わかりづらかった えっちゃんも 歳をとったのか
午前三時ごろ目覚めた。気になっていた鉢植えのアーモンドを玄関の中へ入れた。 台風七号の影響だろう、外が騒がしい。ゴウゴウと唸ったり、バタバタと叩いたり、ザワザワゆすったりしている。昨夜から一階のシャッターはすべて降ろ
足だけが知っていた 四十三年間 あなたと愛しあってともに歩いたということは 決して平坦ではなかった なだらかな傾斜があった
あなたに何を話そうか 迷っていた ほんとうは 申し訳ない気持ちでいっぱいだった こんなにもたくさん お話したいことがあったのに 立ちすくんでしまった これがわたしのはだかの心だ
日曜日。きょうも、朝八時前に芦屋浜へ出た。クラブの仲間は誰もいない。東側の堤防の階段になった通路に座って、真っ青な空の下、ボンヤリ、芦屋浜を眺めていた。 ボツボツ二、三人の仲間が集まり始めたが、このクラブで知り合って
もっとも大きな謎 いつまでたってもわからない なぜ どうして あなたと愛しあってしまったのか 誰か 教えてくれないか どうしてあなただけを 謎 愛の秘密を 教えて
こちらから 別れなくても いずれ 向こうから 別れてくれる これが 物事の道理だ だから もう 別れ話はよそう ねえ おまえ こんな時間 ムダじゃない
きのうの朝は、我が家の庭掃除などの他に、町内にある二カ所の共用の花壇の水撒きをした。亀の池の掃除も前回からちょうど一週間がたっているので、気になって仕方がない。まあ、仕事から帰って昼過ぎにやればいい、そう自分を納得させ
だから これだけは あなたに伝えておきたかったんだ 最初はね もちろん ひとりぼっちと ひとりぼっちだったけど 愛しあって いつのまにか ふたりぼっちになったりして 憶えてる? そうなんだ お
他でもない 最近 わかったことがある まあ 聞いてくれたまえ さあさ もっとこちらへ あれは手品さ 誰も信じないと思うが…… だったら 種が知りたいだろう 耳を出してごらん 小声でささやくから
片隅のあちらこちらから 煙があがっている だから 片隅から消えていく
えっちゃんを喪ったこの悲しみは ボクの特権だと思う 愛しあったものにあたえられた 特権だと思う ボクがこの世を去れば この特権も消える *写真は、きょうの夕方、芦屋総合公園西端の
きょうもまた、朝の八時に間に合うように真夏の青空の下、芦屋浜へ急いだ。早く来ている人たちは、もう芦屋浜のゴミ拾いの作業を始めている。 リーダーが作業している浜の方へ行って、私は朝の挨拶をした。昨夜飲み会があったそうで
旅行に行くので預かって欲しい、ということで、友達のインコが四羽、七月の二十八日から我が家に住んでいます。おそらく八月の七日頃まで。 四羽のうち二羽を写真に撮りました。手前がカンタ、後方のトマリギにとまっているのがユウ
けさは近所の共用の花壇の水やりをしたため、出勤までの朝は忙しくしていた。だから今日の午後一時頃、炎天下、覚悟を決めて、亀の池を掃除した。週に一度くらいは掃除をして水替えをし、池の中で組み立てられた五個のレンガの島の汚れ
こちらが西だとあなたはいうけれど 太陽も星もない なんの目印もない 灰色の草でぼうぼうと覆われた荒れ地に立ってみれば おのずから笑みを落として わたしはあの方角を指さしたまま こう語った あなたは西だという
原口健次さんから詩誌が送られてきた。 寄稿文芸誌「KAIGA」No123 編集発行人 原口健次/発行所 グループ絵画 2023年7月31日発行 四人の作家で十一篇の詩作品が発表されている
先月から余程のことがない限り、毎週日曜日の午前八時から九時までの一時間、私は「芦屋浜ビーチクラブ」に参加している。言うまでもなく、暑い中、きょうも参加した。もとはといえばこの会のリーダーと飲み友達で、ちょっと俺もやって
たわめられたもののなかから はじけとぶもの ひそやかに みもだえして もくしたまま あなたのゆくすえをあんじて 夜半に めざめ
わたしは、夜ごと、頭の中をさぐりまわっている。すみずみまで。たまには、そこからはみだして、首すじをたどり、はらわたをなめて、足のつまさきまでたずね歩き、足と指のつぶやきを聴いては、じっと耳をすまし、彼等の言葉をノートにつ
三個のうち一個は熟しているという。だが、その一個を見つけるのがなかなか困難だった。男でも女でもたいがいの人は、硬くて青いやつを「これだ!」、飛びついて嬉々としているらしい。もちろん、人それぞれで、その選択肢も有りかな、
砂が落ちていく あちらこちらから しゃあしゃあしゃあしゃあ 音たてながら 落ちていく先は 砂けむりで もうもうとして 見えない 見あげると さまざまなものが 蛇 蝉 蟻 猫 牛
炎の中を歩いている すぐそばを 少年時代によく遊んだ 川が流れている 炎の川が おおぜいの魚やドジョウが燃えながら泳いでいく 蛇が焼き魚を食べている 見れば 蛇は一本の燃える縄だ くねくね身悶えして 引きつ
乳白色の液体がたくさん零れ落ちて それが雲になったり 波になったり あるいは 左右にわかれ ときに 両耳を隠す あたりはまったく静かだ 乳白色の液体は死期を早めんとしている
垂直に切れば 上から下に向かって まっぷたつになって すべては右と左に倒れていく だから 水平に切ればいい あなたは そのまま 重なったまま 切れている 離れている 何度も 切れば 切るほど 見事な多層体
買ったばかりの白い犬が二匹、逃げた。彼等の後ろ姿が地下街へ下りていくのが、見えた。後を追いかけて、あちらこちら探し回った。いままで、地下街にこれだけいろんな店があるなんて、ちっとも知らなかった。 犬に関連する店をしら
頭が透明になる時がある さわさわしている 鳥が鳴いている 頭の中をはりめぐらした小枝にいっぱいとまって 透明な声だ さわさわした声だ
あなたは 束の中から どの一本を抜きとって 吸ってもいい お望みなら しゃぶり続け 恍惚として ぷるぷる 身悶えしてもいい 夏の盛り あたりはみな腐れ果て 驟雨の中 どろどろ 崩れ ねばり べちゃべちゃ 痙
あなたは わたしを とんちゃんと呼んでいた わたしは あなたを えっちゃんと呼んでいた 四十三年間 同じ屋根の下で 毎日 そんな物語が続いていた 九年前 物語は終わった とんちゃ