芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

山口勇子の「おこりじぞう」

 「わらいじぞう」がどうして「おこりじぞう」になってしまったのか? そのいきさつを書いたのがこの物語です。  ボクは生まれて初めてこの物語を読みました。が、この本の巻末に書かれた作者の解説を読んでいると、小学生の教科書に

津田文子の詩集「夢のような月日が流れて」

 これは津田さんの第三詩集だが、もうずいぶん昔に、第二詩集を読んでいる。このたび出版された第三詩集を読んでいて、ふと懐かしく、津田さんの第二詩集を書棚から抜き出した。    「きょうが逃げていくようです」 津田

夏を忘れる

 この二三日、夜明け前は涼しくて、すっかり夏を忘れてしまう。  午前五時前、我が家の玄関から門までの小さな空間に、ほとんど藍色に近い、薄い闇の空がある。  日の出前の東空にオリオンが最後の光をつつましやかに置き、その下の

いいだももの「アメリカの英雄」

 この小説は、一九四五年八月六日および九日、ヒロシマ、ナガサキに原爆を投下したパイロットが、終戦後、アメリカ本国にスーパー・パイロットとして、すなわち、本土決戦を断念させて日本を無条件降伏に追い込んだアメリカの英雄として

未明の火

             未明。ダイニングの東窓に於いて、              息をひそめて、待っていた。   青い 円形の たましいと たましいが かさなりあって 上下に動いた   そして ひ

岩倉律子詩集「龍の看取り」を出版します!

 岩倉さんは、主に「罫」、「ら」、「サルトビ」などに作品を発表してきましたが、このたび、「芦屋芸術」からそれらの詩業を一冊の詩集にまとめて発表することになりました。    「詩集 龍の看取り」 岩倉律子著 発行

夏の終わりが来た!

  午前四時前、我が家のダイニングのシャッターをあげると、軒下と隣家の屋根の間、東の低い空にオリオンが輝いていた。  あわてて、門を出た。近くの親水公園の方までトロットで急ぐ。  薄い雲が切れて、アルデバランもエルナトも