芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

山口勇子の「おこりじぞう」

 「わらいじぞう」がどうして「おこりじぞう」になってしまったのか? そのいきさつを書いたのがこの物語です。

 ボクは生まれて初めてこの物語を読みました。が、この本の巻末に書かれた作者の解説を読んでいると、小学生の教科書に採用されているのを知りました。だから、多くの子供たちがもうこの物語を読んでいるのだ、ボクはそう納得して、だから、この本の解説も感想文も書かないことにしました。

 

 「おこりじぞう」 山口勇子作 新日本出版社 2000年3月10日第54刷

 

 ボクは五年前にボクのワイフ、えっちゃんという女性を喪いました。愛している人を喪うのはどれほどつらいものか、この歳になって初めて知りました。そして、ことしの一月ごろから、所謂「原爆文学」と呼ばれている作品をむさぼるように読み続けています。このたび読ませていただいたこの物語も、所謂「原爆文学」の名作だ、ボクはそう思いました。

 それからもうひとつだけ。先日、この作者が書いた別の作品、「荒れ地野ばら」を読みました。この長編小説の原体験がこの「おこりじぞう」巻末の作者の解説にたんたんとつづられています。こころ、打たれました。