芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

九月、玄関先の冬の闇。

 午前四時前、雲の多い日が続いて、急に驟雨が走っていた空が、すっかり晴れていて、ダイニングのベランダの軒下からシリウスが見えた。眼鏡をかけ、門灯を消し、玄関から闇へ出た。

 オリオン! そして、シリウス、プロキオン、ベテルギウスの冬の大三角が眼前に光っている。もちろん、カペラ、アルデバラン、リゲル、シリウス、プロキオン、ポルックスを頂点とする冬のダイヤモンドも。アルデバランの先でスバルの星団がこまやかにちらちらして、北の高い空でカシオペアが輝いている。

 いつのまにか、一年を生きていた。玄関先には、去年の冬の闇が来ていた。