芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

「彼女」第五章

 夕方、また「正夢」で落ち合った。雨が降る平日で、ほとんど客は見えなかった。高齢の男性が一人、カウンターで酒を飲みながら小皿からシメサバを箸でつまんでいる。 「奥の座敷を使っていいよ」  ママの言葉に甘えて、カウンターと