芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

骨と花

          悦子は散骨を望んでいたが、五年近い時が過ぎても、           骨壷は東窓の飾り棚に置かれている。 毎朝 花の水替えをしてると 心の中に 花が満開している ひとりだけの 儀式 骨に支えられ 花に

大田洋子、を読む。

 この書、「屍の街」は、一九四五年八月六日、「ヒロシマ」で被爆した著者が、その事実と、その事実に対応する主観とを言葉で表現した作品である。驚くべきことであるが、著者は、紙やペンが戦火で消失し、避難先で障子紙やちり紙を代用

「或る女」に、出会った。

 過日、船場センタービルで用を済ませ、地下鉄御堂筋線本町駅から梅田に出た折、まだ昼前だったので、紀伊国屋へ寄り、そこで或る女に出会った。  「或る女」 有島武郎著 新潮文庫  もう去年の七夕の話になるが、或る女と打ち合わ

破片

きのう 久しぶりに アルバムを見た カメラが好きだったえっちゃんは たくさん写真を遺していた えっちゃんと生きた 時間の破片が チリバメられていた

四十年ぶりに、原民喜を読んだ。

 綺麗な音楽を聴いた。悪魔的な人間たちの無制限な欲望の果て、この世に出現した「広島」という地獄的虚無を描きながら、何故これほどにまで美しい、透明な調べがボクの胸を打つのだろうか。  「夏の花・心願の国」 原民喜著 新潮文

ずっと夜空を見上げていた。

 きょうは、三時過ぎに起きた。それなりの目的があった。身支度をして、玄関を出た。近くの親水公園まで歩きながら、ずっと夜空を見上げている。  南東の空には、金星、その右上方に木星、その右方にアンタレスが輝いている。まだ、月