芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

ずっと夜空を見上げていた。

 きょうは、三時過ぎに起きた。それなりの目的があった。身支度をして、玄関を出た。近くの親水公園まで歩きながら、ずっと夜空を見上げている。
 南東の空には、金星、その右上方に木星、その右方にアンタレスが輝いている。まだ、月は出ていない。西の空では、ポルックスとカストルを頂点に、右下にカペラ、左下にプロキオン。オリオンもアルデバランもシリウスも、みんな沈んでしまった。……
 午前五時半過ぎ、ふたたび玄関を出た。歩いて十分近くあるが、サイゼリアの裏側のヨットハーバーまで足を運ぶ。ここからは、建物はなく、東の低い空が一望される。
 細い月が浮いている。……月の右上方には、先程見た金星と木星とアンタレス、月の左下方、東南東の低い位置には土星が小さく光っている。細い月と土星の出会い。これだ、これを見るのがきょうの目的だった! 
 空は晴れて、満天、キラキラしていた。……天頂の南側に春の大三角、しし座のレグルスたち、北側に北斗七星が北極星に向かっている。北東の空には「おりひめ星」、その左下方に白鳥座のデネブ、右下方にはわし座のアルタイル、通称「ひこ星」、もう夏の大三角があがっている。
 振り返ると、冬の星座は、すみれ色に近づいた夜明け前の西の空からあとかたも知れず、六甲山の裏側に隠れてしまった。