芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

年末、モーパッサンを読む

 その昔、二十歳の頃、フローベールの「ボヴァリー夫人」を読んで、おもしろくないと思った記憶が残っている、ただ教養のために最後まで我慢して。もともと性急でこらえ性のないボクは、長編よりも、むしろ彼の後期の作品「三つの物語」

 ワイフがなくなってもうすぐ二回目のお正月を迎えようとしている。しかし、まだ、ダイニングの東窓の飾り棚にワイフの遺影と骨壷が。まわりはにぎやかな花々。  お骨は気がすむまでここに置いておこう。  きのう、ワイフのお友達と

北村順子の短篇集「晩夏に」

 一気に読んでしまった。一言でいって、常に前進する時計の時間ではない、収録された九篇の作品を読みすすむにつれて、生きている時間が流れてきた、登場人物たちの現在と過去の落差、その切り口に無音の血が零れている、そんな生きてい

「カラマーゾフの兄弟」再読

 この本の巻末の年譜を見れば、懐かしい書名がずらりならんでいる。ドストエフスキーが二十四歳で書いた「貧しき人々」から始まり、「分身」、「白夜」、「虐げられし人々」、「死の家の記録」、「地下生活者の手記」、「鰐」、「罪と罰