芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

恋の終わり

 芦屋浜まで行って、いま、帰ってきました。七時過ぎに家を出て、帰ってきたら、もう八時を過ぎていました。

 誰もいない浜では、南の空で上弦の月と木星が寄りそって、その右斜め下方にさそり座の赤いアンタレスが輝いていました。ずいぶん長い間、ボクは彼等を見あげていました。

 西の空ではこと座のベガ、南にわし座のアルタイル、頭頂にはくちょう座のデネブ、いわゆる「夏の大三角」がおり姫とひこ星の恋の終わりを告げるようにキラキラして、よく見れば少しかすんだ北西の低い空に北斗七星がわずかに光っていました。さよならというなつかしい声がしました。