芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

右耳の周辺で

東京マザーが我が家へやって来て、ちょうど半月たった。左耳はほとんど聴こえないが、右耳は補聴器で大声を感知する。だから、いつの間にか、我がファミリーはマザーの右耳のあたりで大声をたてている、おおげさな身振り手振りをそえて。あたしゃなにもかもどんどん忘れてゆくので、モウ死ニタイ、ニコニコ笑いながらそう繰り返す右耳のまわりで。

芦屋川、右耳だけに川の音。