芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

しし座流星群の話

 きょうは小雨が降っているか、少なくとも曇っているだろうと思っていたが、午前四時頃に起きて、念のため玄関を出て夜空を見上げた。天気予報を裏切って、驚いたことに、下弦に近い月とオリオンがボクの眼前に輝いていた。

 きょう、十一月十八日はしし座流星群が明け方極大になる日だが天気予報によれば悪天候なので、おとつい、ボクは近所の友人ときのうの午前四時頃芦屋浜で落ち合って流星の観察を約束していた。けれど、ボクは寝坊して、枕から頭を上げれば、時計は五時を指していた。約束を反故にしてしまった。

 とりあえず顔を洗って、愛猫アニーにごはんをあげ、午前四時半頃、門灯を消し、ふたたび玄関を出た。北西のカペラを頂点にしてボクの頭の上まで巨大な星々の絨毯を敷いたように冬のダイヤモンドがキラキラしている。

 レグルスがはっきり見えた。東の空にはデネボラが小さな光を浮かべ、北東の低い空にはアークトゥルスがとてもステキに輝いている。ただ、東の低い空はボンヤリくすんでいて、春の大三角のもう一つの星、乙女座のスピカは見えない。アークトゥルスの北側上空には北斗七星。

 流星が走った! 五分ほどたって今度はかなり大きな流星! そしてレグルスとプロキオンの間にまたひとつ!

 五時が来るまで、ボクはじっと夜空を見上げていた。耳もと近くにくちびるを寄せて、よかったね、えっちゃんがささやいていた。