芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

カアカアに、何があったんだ?

 けさ、庭の掃除が終わった後、五月十一日から芦屋市が催すオープンガーデンに町内が参加したので共用の花壇の掃除をお手伝いして自宅に帰った時、八時前、我が家のウッドフェンスの縁の上にカアカアがいた。

「カアカア、ちょっと待ちなさい」

 小走りに玄関から廊下を抜けてダイニングの戸棚を開けキャットフードの入った円筒形のポリエチレンの容器をつかみ、庭に作ったカアカア用の食卓にそれを盛った。

「カアカア、いいよ」

 いつもの合図を交わすと、カアカアはクワックワッと大きな声で我が家の門の東側に立つシマトネリコに隠れていた夫ガラスを呼んだ。

 彼が食卓でご飯を食べると、彼女は庭の地面に敷いたタイルの上に降り、そこで例のごとくご飯を催促した。

「どうぞ、ハイ、いいよ」

 二人そろって食事をしている姿を見ながら、私は考え込んだ。ここ数日、彼等は二人そろって我が家へやって来る。四月九日から抱卵が始まって、末ごろにはヒナになっていたのは、巣の状態を何度も確認しているので、まず間違いないと私は確信している。しかしその後、巣は閑散としてしまって、誰もいない。毎日、巣がある木を見上げているがガランとしている。

 ここ数日、ずっと二人で我が家にやってきて食事をしている。やはり彼等は子育てに失敗したのだろうか。あるいはヒナを別の場所に運んだのか。それなら、まだ孵ったばかりのヒナをそこに置きっぱなしで二人でいっしょに我が家へ食事に来るのだろうか。どうなんだ。いったいカアカアに何があったんだ?