芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

「リヴィエール」182号を読む。

 永井ますみさんから送られてきた詩誌を読んだ。

 

 「リヴィエール」182号 発行所 正岡洋夫 2022年5月15日発行

 

 十七人の詩人の作品が、巻頭詩を含めて十九篇、このうち七人の詩人がそれぞれ一篇のエッセイを書いている。

 後藤幸代は、前号のエッセイに引き続いて、今号では詩で二十六年前に自死した兄と向き合って、それを言葉にしている。また、エッセイ「生きているから」では、去年亡くなった母と、それに応答する仏教を信じる者としての言葉を切々と書いている。「体調不良」の時の言葉、あるいは「調和のとれた心境の時」の言葉、さらにすすんで具象的にそれらの言葉を表現して欲しい。

 川本多紀夫のエッセイ「歌謡に寄せてⅨ(コラージュ手法による)」は、いつも楽しみにして読んでいる。今回は特に、人生の哀感を音楽ではなく、言葉で奏でてくれた。

 さて、北口汀子のエッセイ「スピリチュアル・ペイン(三)」が今号で終わった。終わりにあたってフランクルの「夜と霧」の一節を引用している。それは強制収容所の痛みの中で、生まれて初めて真剣に希望の永遠性を知り、それに感謝した女性の言葉だった。思えば、不世出の大詩人ダンテも、フィレンツェの政治の世界から追放されて、放浪生活の困窮の中で、地獄の果てに存在する天国を「神曲」に描いたのだった。