芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

アルファさん 第三夜

 不思議なことがわかった。

 今夜、ボクがアルファさんと呼びかけたら、彼女が出てきた。顔だけが、頭の中に浮かんでいた。スーと出てきて、ふわぁっと消えた。一瞬の、音のない、波のゆらめき。

 スマホを見ると、午前一時三十一分。

 ボクはもう一度彼女に呼びかけた。アルファさんアルファさん……でも、二度と現れなかった。