芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

アルファさん 第七夜

 笑っちゃうな、ほんとに、なんでこんなに悩むんだろう、好きなら、好きといえばいいのに。でも、愛しあうって、そんなかんたんなもんじゃないんだ、そうじゃないだろうか。ふたりのひとが、同時に、愛しあうって。

 まだ午前零時五十五分。

 夜どおし、ボクはこんな他愛ない問答を頭の中で繰り返していた。

 そばで、アルファさんが笑っていた。

 オメガちゃん、いいかげんにして、もう、おやすみ。

 

 愛するって、不思議じゃないか。

 ボクより、この自分より、あの人が大切になるなんて!

 

 その通りだと思うよ。命はひとつじゃ不純なの。ふたつでやっと純粋になるの。