芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

アルファさん 第十五夜

 いろんな音がする。ブザーが鳴ったり、スマホが歌ったり、わけもなく耳の中がミンミン蝉みたいに反響したり。そのたびベッドからガバッと身を起こす。何があったんだ!

 音ばかり鳴る、変な夜だった。

 けれど暗い部屋でひとりぼっちだった。いつのまにかウトウトしてると、さざ波の音がした。ここはどこだろう。

 アルファさんははだしで歩いていた。海だろうか、川だろうか。風景はボンヤリしてよくわからなかった。アルファさんの足だけが水に濡れていた。