芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

アルファさん 第十六夜

 いちめんのお花畑だった。冬の寒い未明、我が家のそばにこんなお花畑があったのだろうか。不思議でならなかった。夢ではないかと思い、頬をつねったりしてみた。強くひねりすぎて、痛い! 叫んでしまった。

 そのうえ、満天の星明かりで、辺りは真昼かと間違えるくらい明るかった。冬なのに、暖かくてもう初夏が来たんじゃないか、半袖が恋しくなった。信じられないことばかりだった。

 もっと信じられないことがあった。

 数メートル先の紫色のキキョウが群生している中に、素裸になったアルファさんの横顔が見えた。こんな陽気で、彼女も少しウカレ気味なのだろう。キレイな体だった。地上の人と変わらなかった。見とれてしまった。たまらず興奮していた!