芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

親水公園にて その26

 一九六九年秋。私がSのアパートで遊んだのは、あれが最初で最後だった。  遊んだ? いや、私たち二人はじっと見つめあったままだった。三つくらい年上の彼女はベッドの縁に座って私を見上げ、まだ二十歳だった私は勉強机の前に立っ

D.クーパーの「家族の死」

 もうずいぶん古い話だが、一九七〇年前後の頃、個人的に言えば私が二十歳になるかならないか、そんな頃のお話だが、「家族帝国主義」という言葉があった。今でもこの言葉が残っているのかどうか、私は詳らかにしない。それはとにかく、