芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

残されて

残されて

十一年

 

あたかも まだ あなたが

そばにいるかのごとく

 

馬鹿の一つ覚えか 毎朝

あなたの骨壺の左右に あきもせず

 

生け花を飾っている

あなたの望んだ散骨も出来ず 骨は

 

ダイニングの東窓の棚に

ずっと 置かれたまんま

 

まだ愛しているのに もう決して帰って来ない事実が

こんなにも悲しいことだと

 

やっと わかった

残されて 骨に花