芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

きょう、イイこと、ありました!

 仕事を休んだ。平日は毎日二時間前後、事務所に顔出ししているのだが。きょうは四月の十九日。ワイフの月命日。この七月で、この世を去ってまる三年になる。ボクラはふたりで商売をしていたので、朝から晩までいつもいっしょだった。だから、けっしておおげさな表現ではなく、彼女がいなくなってから、来る日も来る日も、ふいに胸苦しくなって、全身、悲しみの洪水になる。そんな時間帯が必ずやって来る。七月までは、月の十九日は仕事を休んで、一日、彼女を偲ぶことにした。

 けれども、イヤなことばかりではない。いま、ボクは星野元豊の「講解教行信証」全六巻を読み始めた。第一巻を読み終えて、第二巻に入った。祥月命日までに全部読んでしまいたい、そして読後感を書いて彼女に送りたい、それがボクのささやかな祈りになっている。しかし、ボクは星野元豊の第七巻「講解教行信証 補遺篇」を買っていない。ボクが四十六歳の時、1995年10月に出版されているのだが、もうその頃はワイフとふたりで商売とお遊びに忙しく、世間の無明の闇へ沈んで日々を迷っていた。

 ひとりぼっちになって、もう一度、星野元豊に学ぼうと思った。けれど最後の第七巻が読みたくなるのは、明らかだった。ネットを見た。古書で探すと、ある会社では「一万九千円より」となっている。仕方ないと思ったが、念のため、出版元の法蔵館のサイトに入った。するとどうだろう! 第二刷が出版されていた! 定価四千二百円(税、送料別)。

「えっちゃんのおかげで、月命日に、星野先生の第七巻が、見つかったよ! 新刊で!」

 イヤなことばかりではない。悲しいことばかりではない。こんなにイイこともあるんだ。