芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

さとう三千魚の詩集「はなとゆめ」

 高知に住む松岡さんが、以前ボクが出した作品集を若干評価してくださった。それがご縁で、この20年余り、何度かお便りしたり、いただいたりして、ある日、長野の根石さんという方が主宰する「怪傑ハリマオ」という冊子を頂戴した。それがご縁で、根石さんともお付合いが始まり、「怪傑ハリマオ」第8号にボクの作品まで掲載していただいて。

 さて、根石さんのフェイスブックのお友達に静岡の「さとう三千魚」という方がいて、webサイト「浜風文庫」を運営しておられ、根石さんも月に一回「浜風文庫」にエッセイを発表していて、それがご縁で、最近出したボクの文集「ふたりだけの時間」をさとうさんにお送りしたところ、この数日前、こんなステキな本が届いた。

 

 詩集「はなとゆめ」(さとう三千魚著、2014年10月30日発行、無明舎出版)

 

 最初に言っておきます、松岡さん、根石さん、さとうさんとボクは面識はありません。一度もお会いしていない。世間でいう経済的利益のつながりもない。あるのは、ただ言葉の世界だけでつながって。

 さとうさんは「浜風文庫」に詩を発表していてボクも目にはしていたが、まとまった詩集を読むのは初めてだった。奥付を見ると、少なくとも三冊の詩集を既に出版していらっしゃるのだが。

 さとうさんの詩の特徴は、透明な水なので、いつのまにか透き通った言葉の水がこころをひたし、目を閉じれば、ひたひたした音が聴こえてくる。言葉の水を白い紙に流したような詩である。言葉が音符みたいに流れていくので、だから、ボクは一部だけを引用しない。「浜風文庫」に発表された作品か、出来ればこの詩集「はなとゆめ」を直接お読みいただきたい。わかったようで、わからない、わかりやすいようで、まったくわからない、そんな人の世の悲しみがきっとあなたの胸の水面をひたひたするだろう。