芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

最後の写真

 ボクはことしの7月19日にワイフをうしなって1ケ月たらずで「ふたりだけの時間」という手記を書いた。ボクはワイフの生前、一度もラブレターを出していない。だからこの手記は、むしろボクがワイフに出した最初で最後のラブレターだったのかもしれない。

 このラブレターの中に登場するO看護師さん、彼女はボクのワイフの終末をケアしてくださった担当看護師さんだが、おとつい、二枚の写真を同封したお手紙を。

 お手紙を読んでいると、僕の眼前に、あの病室の19日間、ボクの天使、白いワイフの姿が再現して。

 二枚の写真には、一般病棟から緩和ケア病棟に移動した翌日、7月2日と右下隅に刻印され、ボク、チョーナン、ジナン、そしてボクの天使。

 誰も病室で天使の写真はとっていない、この写真を除いて。