芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

賞味期限

 このところボクは毎月19日に仕事を休んでいる。今年の7月19日がボクのワイフが亡くなってちょうど1年になるのだが、その日まで19日は必ずお休みして朝から酒を飲むことにしている。

 といって、酒ばかり飲んでいるわけではなく、例えば、きょう、2月19日についていえば、朝3時に起きて、本を読んだ。石上玄一郎作品集第1巻(発行所、冬樹社)を読み始め、ギリシア喜劇全集と平行して読んでいこうと思っている。6時に愛犬ジャックと散歩。7時から朝食の準備。ボクと長男とジャックの分。

 ワイフが作っていた朝食のグレードを落とすとジャックがかわいそうだから、毎朝、リンゴ、バナナ、ニンジン、キュウリ、レタス、大根、タマネギ、ゆで卵、生ハム、パン、チーズ、オリーブオイル、ハチミツ、ヨーグルト、牛乳、豆乳、しかし生ハム、タマネギ、ハチミツのかわりに、ジャックにはササミ、豆腐、オカラパウダーを水に溶かして。これらの素材が朝食の定番である。ただ人間のためには、大根を短冊に切り、タマネギをスライスして、マヨネーズ、神宗の昆布ダシ、ポッカレモンであえて。ポッカレモンに関して言えば、ワイフが冷蔵庫に残していたもので、今朝、使い切ってしまった。

 ワイフの遺していったものはほとんど手付かずである。冷蔵庫の中でさえまだ整理していない。先程も庫内の片隅にリケンのシーザーサラダのドレッシングのビンが立っていた。賞味期限は今年の7月18日だった。