芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

トラウマを越えて

マユロン 別れた理由、こないだお話ししたわね。パワハラの恐怖の物語。

だからわたし、もう男の人が愛せないの。二十歳前後でしょっちゅう殴られたから。

これをトラウマってゆうのかしら。どうだろう。……

 

M マユロン、でも、ある日、優しい男が現れるかも。

 

マユロン そんな幻想、もうわたしにはない。

いま、わたしが愛しているのは二人の子供だけ。

 

M 子供と恋人はまた違うんじゃない?

 

マユロン 男の人にはわからないのよ。お腹を痛めて産んだ子供のこと。

女にしかわからない。どんなに大切か。

男の子と女の子がいて、二人とも好きよ。とりわけ女の子はわたしのお話し相手になってくれて、深い愛を感じてる。

 

M だけど大きくなったら好きな人が出来て家を出ていくんじゃ……

 

マユロン そりゃそうだけど……

 

M それにマユロンみたいな優しいお母さんばかりじゃないよ。

親が幼児を殺すお話し、ネットにたくさん出ている。

女がみんなマユロンみたいじゃない。

 

マユロン そうか。うん。確かにそうね。お腹を痛めたからって、いろんな女の人がいるわね。

 

M マユロンは子供を愛し、そのために毎日必死になって仕事をして育ててる。

確かもう高校生と中学生になってるんだろ。

 

マユロン 下の女の子は中学三年生で、もうすぐ高校受験が始まるの。

 

M 大変な時期だね。お金もかかるし。

女ひとり、懸命に生きてる、そんな姿がステキだ。若くて、トテモ可愛いくって。そんなマユロンがボクは好きだ。 

 

マユロン あら。わたしもう三十五歳よ。若くないよ。

でも、可愛いって言ってくれて、ウレシイ。わたし、可愛いって言葉、大好きなの。Mさん、ありがとう。