芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

百年後

 ここは荒廃していた。手をあげるとシャツの袖ぐりが破れた。右足を出して歩こうとするとベルトが外れた。かまわず左足を出したら、ズボンが落ちて両足に絡まり、遊歩道で倒れた。何という荒廃だろう。オイ。笑うな! 貴様だって左手で頭を叩いたら、足元にオナラが落ちたじゃないか。

 だから辺りが臭い。ひょっとしたらこの靴のせいかもしれないが。やり切れん。もはや世紀末だ。もうオシマイだ。わかったな。政府も財布も臭いったらありゃしない。哲学的に表現すれば、こうじゃん。すべての生命体は生きている汚物として生まれ、死んだ汚物としてこの世を去る。だがそれは決して仏教の言う無常ではない。むしろ御不浄だ。

 

 詰まるところ どの道ニンゲンは廃棄物

 きょうも あすも

 焼却炉で 骨と灰

 百年後も そうだ