芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

料理教室

 なかなかその気になれなかった。そんな時って、誰にでもやって来るんじゃない? どうだろうか? 

 やろうと思っている。絶対やるんだと意気込んでいる、そのくせ、なかなか腰があがらない、あげることが出来ない、そんな時って。

 こんなこともあった。話は少し横にそれてしまうが。ちょっと聞いてくれ。

 犯人はミミズだという噂だ。そう聞いている。ミミズを生タマゴで和えて食べると絶妙の味がするというじゃあないか。もうかれこれ六十年くらい昔のテレビ番組でそんなドキュメントを見た記憶がある。題して、「ミミズ物語」。とにかくミミズは大切にせにゃ。魚のエサにもなるし。

 血眼になって、闇屋が殺到したね。ある村じゃ、ミミズ一匹いない。政府筋が乾燥ミミズを支給する始末さ。水で戻して生タマゴと混ぜて、ズルリ。余りにうまいので、その味をしめたミミズ同士が共食いしてほとんど絶滅したらしい。彼等は絶滅危惧種になった。やはり噂通り、犯人はミミズじゃないか。絶滅するのは、異種じゃなく、常に同類同士が犯人なんだ。すったもんだしたあげく、食い合いさ。頭や手足だけではない、胴体まで食い尽くす! すっかり無になって破滅する‼

 この話、誰も信用なんてしていないんだろう? だけど信用って何だろう? 首を縦に振るくらいのことなんだろう。たやすい御用じゃないか。まあ、この話、騙されて、首を縦に振ってくれ。後で、ミミズたまご、お椀に山盛り御馳走するからさ。

 では、ムカデのぶつ切り料理はどうだろう⁉