芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

親水公園にて その32

 夏の間、毎朝庭の掃除をしていると、早くからもうアリが活動しているのがわかる。私が小さかった頃と違って、最近は黒いゴマの実より細かいアリばかりだ。大きなアリはいない。地中から粉末のような砂を巣穴の周りに積み上げている。彼らの世界に異変が起こっているのだろうか。木の下にはセミのヌケガラや死骸が転がっていたりする。それを我が家にやって来るカラスが食べてしまう。

 今年は例年になく暑い日が続いた。だが、いつのまにか秋は来ているのだろう。トンボの姿が耳のすぐそばを滑り、あちらこちら、ひからびてしまったミミズの死骸。

 

 生きることには

 なんの意味もなかった

 ひからびたミミズが 私にそう言った

 

 

*写真は、きょうのお昼前。親水中央公園の西端にあるアーモンド畑。春が来れば、桜より一足先に開花する。地区外の方が見学に訪れることもある。「アーモンドがたくさん咲いているところはどこでしょうか」、私も何度か尋ねられた。