芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

カアカアは、いずこへ。

 先週の土曜日からちょうど一週間、カアカアの姿が見えない。四月に入って、一日数回来ていた彼女が、一回ないし二回しか我が家に訪問しなくなった。お元気そうだったのに、何故だろう? そう思っていた矢先、フッツリ姿を見せなくなった。

 ひょっとしたら……私はある考えが閃いて、近所の葉の生い茂った樹木を探しまわり、観察して歩いた。

 四月十三日、朝九時ごろ。私は樹木には無知で、おそらくクスノキではないかと思うのだが、彼女がいた。木の枝に巣を作って、その上にじっと臥せっている。卵を温めているのだろう。カラスの抱卵日数はおおよそ二十日間だと聞く。その後、孵化した雛は一か月くらいで巣立ち、それから、また一ヶ月くらい、家族といっしょに暮らすという。

 私には初体験だった。頭上では夫ガラスが鋭く鳴き、近くの屋根の上にとまって、彼女を見守っている。そうだ。毎日、新しい出来事があって、それを学ぶって、トテモ、ステキ、ではないか!

 

 *写真は、スマホで接写するため拡大して撮ったので、被写体はボンヤリしているが、上部の薄黒い歪んだ物体が、彼女の巣だ。