芦屋芸術|芸術誌・現代詩・小説

闇黒問答

 一見、この暗黒には果てがないように見える。だが、立ち止まって、よく考えていただきたい。どうだろう。すべてが崩壊してほとんど粉末状態になって闇黒をさまよい続けていると、ちょっと想像してごらん。そうじゃないか。暗黒のままでは、遅かれ早かれ、自死するほか、なんの手立てもなかろう。ヨシッ! 決めた‼ 俺はこの闇黒を死に物狂いで突破してやる♥♨

 

 Ⅿの脳裏にこんな問答の走馬灯がクルクル回転していた。しかし、何故闇黒なのだろうか。確かに、今、未明だった。彼は居酒屋やスナックやらバーあるいはちょっくら立飲みなんてハシゴしちゃって、フラフラフラリン、芦屋川沿いに帰宅途上だった。

 辺りは闇に落ちている。真っ暗暗。しかし、だが、しかし、ホラ、見上げてごらん。夜空には星がいっぱい。キラキラキラリン、頭上を光で包んでいる♢♫

 

 だったら、何故、闇黒なのだろう。光を浴びたⅯの脳裏は再度、問答が始まった。この脳の中には十代から暗黒が侵入してきて、無数に近い脳細胞に食らい付いて黒い液汁でネッチャリン満たし、既に頭は七十代の半ばも過ぎてしまった。切迫している。切羽詰まっている。じゃあ、脳が闇黒のまま死ねばいいんだろ。そじゃないか。♠☂

 

 オイ。待て。ただ、これだけは再確認してからそそくさと死んでくれ。そうだろ。リカと暮らした数十年の歳月はずっとお天気だった。暗黒何て微塵もなかった。昼は真っ青、夜はキラキラしていたのだった。リカは光だった。♧◐