芦屋芸術|同人誌・現代詩・小説

中身は消えていく

 こんなところに財布が落ちている。レンガ色をしたタイル張りの長い階段を上っている途中、踏み面から黒革の財布をMは拾いあげた。ためつすがめつして、彼は確信した。「アレ、これボクの財布じゃないか」。念のためセカンドバッグの中